グザイ粒子

グザイ粒子

グザイ粒子（クシーりゅうし、Xi particle）は、素粒子物理学において、バリオンに分類されるハドロンの一種です。クォークで構成されており、1つのアップクォークまたはダウンクォークと、それよりも重い2つのクォークから構成される複合粒子です。

概要

グザイ粒子は不安定な状態にあり、「カスケード粒子」とも呼ばれます。これは、グザイ粒子が非常に短時間で崩壊し、より軽い粒子へと変化していく様子を表しています。この崩壊は連鎖的に起こり、最終的には安定した粒子へと落ち着きます。

グザイ粒子の発見については、1964年にブルックヘブン国立研究所で初めて確認されたという説が有力です。しかし、1954年にクライド・カワンによって発見されていたとする記述も存在します。初期の発見については、確認が難しかったのかもしれません。

Ξ−b（カスケードb粒子）

特に興味深いグザイ粒子の一つに、Ξ−b（クシーマイナスb）粒子、別名カスケードb粒子があります。この粒子は、3世代全てのクォークを含む珍しい存在です。2007年6月12日、フェルミ国立加速器研究所のD0実験とCDF実験によって発見が公表されました。3世代全てのクォーク（ダウンクォーク、ストレンジクォーク、ボトムクォーク）から構成される粒子が発見されたのは、これが初めてでした。

D0グループとCDFグループは、それぞれ独立にΞ−b粒子の質量を測定しました。D0グループは 5.774±0.019 GeV⁄c2、CDFグループは 5.7929±0.0030 GeV⁄c2 という値を報告しています。これらの測定値には若干のずれが見られますが、パーティクルデータグループは、これらのデータを元に、5.7924±0.0030 GeV⁄c2 をワールドアベレージ質量として採用しています。

通常、特に明示されない場合、グザイ粒子を構成するアップクォークとダウンクォーク以外のクォークはストレンジクォークであると考えられます。しかし、Ξ−b粒子は、1つのアップクォーク、1つのストレンジクォーク、そして1つのボトムクォークから構成されています。また、Ξ0bb粒子は、1つのアップクォークと2つのボトムクォークから構成されるという特徴を持っています。

Ξ++cc粒子

2017年7月6日には、CERNのLHC（大型ハドロン衝突型加速器）において、質量が 3621 MeV⁄c2 のΞ++cc粒子が合成されたと発表されました。この実験では、過去に合成が報告されていたΞ+cc粒子の再現実験も試みられましたが、過去の実験結果を再現するには至りませんでした。これは、グザイ粒子の研究がまだ発展途上であり、未知の領域が多く残されていることを示唆しています。

グザイ粒子は、素粒子物理学において重要な研究対象であり、その性質を理解することは、物質の根源的な構造を解明する上で不可欠です。今後の研究によって、グザイ粒子に関する新たな発見がもたらされることが期待されます。

参考文献

“Listings for Xi particles”. Particle Data Group.
素粒子事典『グザイ粒子』 - コトバンク
* ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典『Ξ粒子』 - コトバンク

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