グティ・エスパダス

グティ・エスパダス

メキシコのユカタン州メリダ出身、1954年12月20日生まれのグティ・エスパダスは、ボクシング界において特筆すべきキャリアを築いた元プロボクサーです。彼の最も記憶に残る功績の一つは、後に息子であるグティ・エスパダス・ジュニアも世界王者となったことであり、親子二代での世界タイトル獲得という、ボクシング史上でも非常に稀な偉業を成し遂げました。

エスパダスのプロキャリアは、1971年1月29日に幕を開けました。デビュー間もない1971年9月22日には、将来2階級を制覇することになるフレディー・カスティーリョのプロ初陣の相手を務め、4ラウンドKOで勝利を収めるなど、その才能は早くから注目を集めていました。国内外で経験を積み、1976年8月25日にはメキシコで日本の岩本隆治選手と対戦。この試合もわずか2ラウンドでKO勝ちを収め、世界挑戦への期待を高めました。

そして1976年10月2日、彼は遂にWBA世界フライ級王者パナマのアルフォンソ・ロペスに挑む機会を得ます。この激闘を13ラウンドTKOで制し、グティ・エスパダスは自身初の世界チャンピオンの座に就きました。

世界王者となった後も、エスパダスの勢いは止まりませんでした。初防衛戦は1977年1月1日、日本の高田次郎選手を相手に行われ、7ラウンドKOで危なげなく防衛に成功。1977年4月30日には、タイトルを奪った相手であるアルフォンソ・ロペスとのリマッチに臨み、再び13ラウンドKOという結果で2度目の防衛を果たしました。さらに、1978年1月2日には日本の触沢公男選手からの挑戦も受け、これも7ラウンドTKOで退け、王座を4度防衛するという輝かしい実績を残しました。

しかし、1978年8月12日に行われた5度目の防衛戦で、元WBC世界フライ級王者であるベツリオ・ゴンザレスと対戦し、0-2の判定負けを喫して王座から陥落しました。この敗北はエスパダスのキャリアにおける大きな転換点となりました。

王座を失った後も、エスパダスは再び世界のベルトを目指し続けます。1979年12月16日には、WBC世界フライ級王者であった韓国の朴賛希に挑戦しましたが、2ラウンドでKO負けとなり、王座奪還は叶いませんでした。キャリアの晩年には、階級をスーパーフライ級に上げ、WBC世界スーパーフライ級王者パヤオ・プーンタラットへの挑戦も試みました。しかし、1984年3月28日に行われたこのタイトルマッチでも10ラウンドTKO負けとなり、2階級制覇は達成できませんでした。この試合を最後に、グティ・エスパダスは惜しまれつつリングを去り、そのプロキャリアに終止符を打ちました。

グティ・エスパダスは、その攻撃的なスタイルと粘り強さで多くのファンの記憶に残るボクサーでした。そして、息子と共にボクシングの世界最高峰に立ったという事実は、彼の名前を親子二代の英雄としてボクシング史に永遠に刻み込んでいます。彼のリングでの功績は、メキシコのボクシング史における重要な一章を飾るものです。

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