グネフヌイ級駆逐艦

グネフヌイ級駆逐艦：ソ連海軍の主力駆逐艦

グネフヌイ級駆逐艦は、ソ連海軍が1930年代に開発・建造した駆逐艦です。ソ連海軍における計画名は「7型駆逐艦」であり、36隻の建造が計画され、最終的に30隻が竣工しました。本級は、ソ連の工業力と軍事力を拡大する五カ年計画の一環として、1933年から開発が開始されました。その際、イタリアから技術導入が行われたため、イタリア製艦艇の特徴である高速性と低凌波性が本級にも受け継がれています。

しかし、就役後にいくつかの設計上の欠陥が発覚したため、これらを改善したストロジェヴォイ級駆逐艦が開発されることとなりました。1950年代には、一部の艦が中国に引き渡され、鞍山級駆逐艦として運用されました。これらの艦は、それぞれ鞍山、撫順、長春、太原と改名され、中国海軍で1990年代まで活躍しました。

外観の特徴

グネフヌイ級駆逐艦は、クリッパー型の艦首から艦首甲板の乾舷部のみが高い短船首楼型船体を採用しています。艦首甲板にはシア（反り返り）がなく、13cm速射砲を背負い式に2基配置しています。露天式の艦橋の後方には、単脚式の前部マストが設置されています。3基のボイラーを直列に配置したため、1本煙突となっています。その周囲は艦載艇置き場として利用され、2本1組のボート・ダビットが片舷2組ずつ装備されています。後部マストを挟んで、53.3cm三連装魚雷発射管が前後に1基ずつ計2基配置され、その後方には3・4番主砲が背負い式で配置されています。

武装

主砲

主砲には、「Pattern 1936 13cm（50口径）速射砲」が採用されました。この砲は、33.4kgの砲弾を最大で22,314mまで射程距離を持ち、仰角45度で発射できました。砲身の俯仰範囲は仰角45度から俯角5度、旋回角度は左右150度です。装填方式は自由角度装填で、発射速度は人力装填のため毎分6～10発でした。

対空兵装

対空兵装としては、「Pattern 1935 7.62cm（55口径）高角砲」が搭載されました。この砲は、11.5kgの砲弾を最大で8,970m、高度6,500mまで射程を持ち、仰角85度で射撃できました。俯仰範囲は仰角85度から俯角5度で、旋回角度は360度でしたが、実際には遮蔽物によって制限されていました。装填方式は自由角度装填で、発射速度は毎分15～18発です。

さらに、「1934年型 21-K 45mm（46口径）高角砲」も近接防空火器として搭載されました。これは1.41kgの砲弾を9,200m、高度6,000mまで射程を持ち、仰角85度で射撃できました。俯仰範囲は仰角85度から俯角10度、旋回角度は360度でしたが、実際には遮蔽物によって制限されていました。装填方式は自由角度装填で、発射速度は毎分15発です。

近接防空火器として「DShK 12.7 mm（50口径）機銃」も4基装備されました。対艦攻撃用には、53.3cm三連装魚雷発射管が2基、対潜用には爆雷25発、航路封鎖用には機雷95発を搭載可能でした。

同型艦

グネフヌイ級駆逐艦は、以下の艦が建造されました。

北方艦隊:
グローズヌイ
グロームキイ
グレミャーシチイ
ストレミーテリヌイ
ソクルシーテリヌイ

赤旗勲章受章 バルト艦隊:
グネフヌイ
グロジャーシチイ
ゴールドィイ
ステレグーシチイ
スメトリーヴイ

黒海艦隊:
ボードルイ
ブィーストルイ
ボーイキイ
ベスポシチャードヌイ
ベズプレーチュヌイ
ブジーテリヌイ
ブールヌイ（未成）
ボエヴォーイ（未成）

太平洋艦隊:
ローフキイ（未成）
リョーフキイ（未成）
レーズヴイ
レシーテリヌイ
ラストロープヌイ
ラズャーシチイ
リヤーヌイ
レースキイ
レチーヴイ
レシーテリヌイ（ポスペーシュヌイ）
レーヴノスヌイ（プロヴォールヌイ）
ラズヤリョーンヌイ（ペレドヴォーイ）※
レコールドヌイ（プルィートキイ）
レートキイ（プィールキイ）
ラズームヌイ（プローチュヌイ）※
プロンジーテリヌイ（未成）
ポラジャーユシチイ（未成）

※印の艦は、1942年に北極海航路経由で北方艦隊へ回航されました。

関連項目

ソ連・ロシア海軍艦艇一覧

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