グム百貨店

グム (GUM) について

グム、またはグム百貨店は、ロシアの首都モスクワの象徴的な場所、赤の広場に面して建つ巨大なショッピングモールです。赤の広場を挟んでクレムリンの反対側に位置し、その壮大な建物はモスクワの重要な観光スポットとなっています。

「グム」という名称は、ソビエト連邦時代に「国営百貨店」を意味するロシア語の頭文字に由来します。民営化後は、Gの文字を「主要な」という意味を持つ言葉の頭文字に変更していますが、依然としてGUMの名称が使われています。

歴史

グムは、1893年に帝政ロシア時代に建設されました。モスクワを代表する歴史的建造物であり、その建築様式はロシアの文化を今に伝えています。1917年のロシア革命時には1200もの店舗がありましたが、革命後、グム自体は国有化されたものの、個人商店は営業を続けることが許されました。

しかし、ソ連成立後の経済政策の変更を経て、1928年にヨシフ・スターリンの独裁体制下で、グム内の全ての店舗が国営化されました。その後、グムはソ連における消費の中心地となり、物資不足を起こさない数少ない店として、ソ連経済のショーケースのような役割を果たしました。ペレストロイカ政策が導入された1985年以降、個人商店が復活し、西側企業との合弁事業も進められました。

1993年にソ連が崩壊し、ロシア連邦が成立すると、グムは民営化されました。赤の広場に面したかつての入り口が再開され、グムは革命以前の姿を取り戻しました。2005年には、ロシアの大手高級品流通グループが過半数の株式を取得し、現在に至るまで経営権を握っています。現在、グムには200以上の店舗が営業しており、高級ブランド店が軒を連ねています。

グムは、単なるショッピングモールとしてだけでなく、ロシアの歴史と文化を体現する場所として、地元の人々や観光客に愛されています。その壮麗な建築と内部の美しい装飾は、訪れる人々を魅了し続けています。

補足

「グム」という名称は、モスクワだけでなく、ロシア国内の他の都市にも存在する百貨店で使われている場合があります。これは、ソ連時代に「国営百貨店」を意味する言葉が広く使われていたためです。

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