赤の広場

赤の広場

赤の広場（あかのひろば、ロシア語：Красная площадь）は、ロシアの首都モスクワの中心に広がる広場で、その長さはおよそ695メートル、幅は130メートル、広さは73,000平方メートルにも及びます。この名の「赤」という言葉は、直接社会主義やソビエト連邦に由来するものではなく、元々はロシア語で「美しい」を意味する言葉に由来しています。つまり、赤の広場は本来「美しい広場」として知られていたのです。

広場は北西から南東に伸びており、南西側にはスターリンやブレジネフなどのソ連の指導者たちが眠るクレムリンの壁があります。また、ここにはレーニンの遺体が安置されているレーニン廟や、重要な人物が埋葬されているクレムリンの壁墓所も位置しています。さらに、北東側にはグム百貨店があり、北西の端には国立歴史博物館とヴァスクレセンスキー門、南東端には葱坊主の屋根を持つ聖ワシリイ大聖堂が存在します。この広場は、国家の重要な行事や祝典が執り行われる場所であり、冬にはグムがスケートリンクを開くこともあります。

歴史的背景

赤の広場の起源は1493年に遡ります。この年、モスクワ大公国のイヴァン3世が自らの居城であるクレムリンの前に広場を整備しました。初期には商業地域であるキタイゴロドと区別がされ、モスクワ大公国や後のロシア帝国にとって重要な行事がここで行われるようになりました。当初、この広場は「トルグ広場」や「至聖三者広場」といった名称で呼ばれていましたが、1571年のタタール人襲撃による火災を経て「ポジャール広場」とも称されました。

「赤の広場」と名付けられたのは17世紀後半のことで、ここでの商業活動や国家行事が徐々に顕著になってきた時期です。この広場の重要性は、ロシア帝国の首都がサンクトペテルブルクであった時代にも変わらず、ロシア革命後に再びモスクワが首都となったことによって、一層増しました。ソ連の成立後、赤の広場ではメーデーのイベントや革命記念日の軍事パレードが行われ、国際的な注目を集めていました。

特に1941年の革命記念日には、独ソ戦の影響で軍隊がそのまま戦線に向かう一幕もあり、歴史的には重要な場面の一つとなります。ソ連の崩壊後、赤の広場でのイベントは商業的にも利用され、映画やファッションショー、コンサートなど様々な催しが行われるようになりました。

世界遺産としての評価

1990年にはユネスコから世界遺産として登録され、その際の基準は人類の創造的才能を表現する作品としての重要性、建築様式や景観デザインの発展を示すもの、歴史的な時代を象徴する優れた例として評価されました。

今や赤の広場は、歴史的背景や文化的意義を持ちながら、商業や観光の中心ともなっています。アーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画「レッドブル」など、文化的なイベントの場としての役割も果たしているのです。さらに、毎年行われる戦勝記念日には、必ず大規模な軍事パレードが行われ、その光景は多くの人々を魅了しています。

赤の広場はただの観光地ではなく、歴史と文化が交錯する場所であり、未来へと続くストーリーを語り続けています。

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