グラス・ハマー

グラス・ハマーは、アメリカ合衆国出身のプログレッシブ・ロックバンドです。1992年、フレッド・シェンデルとスティーヴ・バッブの2名を中心にテネシー州で結成されました。彼らは共にマルチプレイヤーであり、バンドの音楽的な方向性を決定づけました。

1993年には、J.R.R.トールキンの「指輪物語」を題材にしたファースト・アルバム『Journey Of The Dunadan』でデビュー。その後、セッションメンバーを迎えながら、数々のアルバムやDVDビデオ・ライブをリリースし、現在も精力的に活動を続けています。

音楽性

メンバーは元々プログレッシブ・ロックのファンであり、自分たちが納得できる作品を作ることを目指してバンドを結成しました。彼らの音楽には、1970年代のイエスやELP、カンサスといった大物プログレッシブ・ロック・バンドへの憧憬が強く感じられます。作品のコンセプト、クラシック音楽の取り入れ方、変拍子の使い方、アナログ・シンセサイザーやメロトロン、ハモンド・オルガンといった楽器の用い方など、随所にその影響が見られます。

彼らの音楽は、古き良き時代のシンフォニック・ロックを彷彿とさせる、男女混声ボーカルが特徴的です。フォークやトラッドの要素も取り入れられ、独自の音楽性を確立しています。

2005年のアルバム『悲しみの淵に潜む秘密』では、イエスのアルバム・アートで知られるロジャー・ディーンがジャケットのイラストを提供しました。また、2007年リリースのアルバム『カルチャー・オヴ・エセント』には、イエスのジョン・アンダーソンがゲスト・ボーカルとして参加しています。2010年のアルバム『イフ』からは、ジョン・デイヴィソンが参加。ジョン・デイヴィソンは後にイエスのメンバーとしても活躍しています。

アルバムのモチーフ

アルバムのモチーフとしては、ファンタジーの世界（トールキン、C・S・ルイス、ケルト神話など）から題材を得ることが多く、叙情的で壮大な世界観を表現しています。

評価

デビュー当初は、シンセサイザーの音色設定やアレンジの立体感などに課題も見られましたが、作品を発表するごとにサウンドは進化を遂げ、2000年リリースのアルバム『クロノメトリー』の頃には、高い評価を得るようになりました。NEARfestへの参加など、正統派プログレッシブ・ロック・バンドとして認知されています。

グラス・ハマーは、過去のプログレッシブ・ロックの遺産を受け継ぎつつ、独自の音楽性を追求し続ける、注目のバンドです。

主要メンバー

スージー・ボグダノウィッツ (Susie Bogdanowicz) – ボーカル
フレッド・シェンデル (Fred Schendel) – キーボード/ギター、ボーカル、ドラムス
スティーヴ・バッブ (Steve Babb or Stephen DeArqe) – ベース/キーボード、ボーカル、パーカッション
カムラン・アラン・シコー (Kamran Alan Shikoh) – ギター
アーロン・ラウルストン (Aaron Raulston) – ドラムス

ディスコグラフィー

Journey of the Dunadan (1993年)
ペレランドラ - Perelandra (1995年)
オン・トゥ・エヴァーモア - On to Evermore (1998年)
クロノメトリー - Chronometree (2000年)
The Middle-Earth Album (2001年)
レックス・レックス - Lex Rex (2002年)
シャドウランズ - Shadowlands (2004年)
悲しみの淵に潜む秘密 - The Inconsolable Secret (2005年)
カルチャー・オヴ・エセント - Culture of Ascent (2007年)
スリー・チアーズ・フォー・ザ・ブロークン・ハーテッド - Three Cheers for The Broken-Hearted (2009年)
イフ - If (2010年)
心の中の心 - Cor Cordium (2011年)
ペリオス - Perilous (2012年)
オード・トゥ・エコー - Ode to Echo (2014年)
ザ・ブレイキング・オヴ・ザ・ワールド - The Breaking of the World (2015年)
ワルキューレ - Valkyrie (2016年)
クロノモノウト - Chronomonaut (2018年)
* Dreaming City (2020年)

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