グラム陽性菌
グラム陽性菌とは、細菌を分類する際に用いられるグラム染色法によって、紺青色または紫色に染色される細菌の総称です。この染色法で赤色や桃色に染まるグラム陰性菌と対比されます。グラム陽性菌の多くは、細胞膜のみを持つ単膜細菌（MD細菌）に分類されるフィルミクテス門と放線菌門に属していますが、例外的に二重膜細菌（DD細菌）であるデイノコックス・テルムス門の一部もグラム陽性を示すことがあります。逆に、単膜細菌であるクロロフレクスス門の一部やテネリクテス門はグラム陰性となる場合もあります。
かつてグラム陽性の真正細菌は、フィルミクテス門に一括して分類されていました。この門の名前は、グラム陽性菌の厚い細胞壁に由来し、ラテン語で「強固な皮膚」を意味する言葉から作られました。当時は、現在のフィルミクテス門に含まれる低GCグラム陽性細菌だけでなく、放線菌（高GCグラム陽性細菌）やデイノコックスも含まれていました。
一般的にグラム陽性菌は以下の特徴を持ちます。
外膜を持たない： グラム陰性菌は細胞膜と外膜の二重の脂質膜に包まれているのに対し、グラム陽性菌は外膜を持ちません。
厚いペプチドグリカン層： グラム陰性菌に比べて、グラム陽性菌は細胞壁のペプチドグリカン層が厚いです。
タイコ酸とリポタイコ酸の存在： キレート因子として機能し、細胞の粘着性にも関わるタイコ酸とリポタイコ酸が存在します。特にリポタイコ酸は脂質成分を含み、膜に埋め込まれることでペプチドグリカン層を支える役割を果たします。
グラム染色法では、これらのペプチドグリカンの構造の違いが染色結果に現れます。グラム陽性菌は、厚いペプチドグリカン層がエタノールによる脱色を防ぎ、最初に染色したクリスタルバイオレットの紫色を保持します。一方、グラム陰性菌ではペプチドグリカン層が薄いため、クリスタルバイオレットが容易に脱色され、対比染色のサフラニンによる赤色が強く出ます。
多くのグラム陽性菌は、フィルミクテス門と放線菌門に分類されます。DNA中のグアノシンとシトシンの含有量が少ないものはフィルミクテス門、多いものは放線菌門に分類される傾向があります。グラム陽性菌に属する細菌の属としては、バシラス属、リステリア属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、エンテロコッカス属、クロストリジウム属などがよく知られています。また、細胞壁を持たないためにグラム染色できないモリクテス綱の細菌（例：マイコプラズマ）も広義にはグラム陽性菌に分類されることがあります。
さらに、デイノコックス・テルムス門に属するデイノコックスもグラム陽性に染色されることがあります。この細菌は非常に厚いペプチドグリカン層を持つため陽性となるものの、外膜を持つなど構造的にはグラム陰性菌に近い特徴も持っています。
真正細菌における分類は以下の通りです。
真正細菌ドメイン
フィルミクテス門： 外膜を持たない。ネガティウィクテス綱（外膜を保有）を除く4綱がグラム陽性です。
放線菌門： 外膜を持たない。6綱全てがグラム陽性ですが、抗酸菌は不定型です。
デイノコックス・テルムス門： 外膜を持つ。2目のうち、デイノコックス目がグラム陽性です。
クロロフレクサス門： リポ多糖がなく、外膜を欠くという報告があります。系統的にグラム陰性菌とグラム陽性菌が混在します。
テネリクテス門： 外膜を持たない。細胞壁を欠損しているためグラム陰性ですが、フィルミクテス門と非常に近縁であり、グラム陽性菌とされることもあります。
これらの5門に藍藻を加えた6門で、テッラバクテリアというクレードを形成するという仮説があります。
また、古細菌の中にもグラム陽性に染色されるものが存在します。しかし、その原因や細胞壁の構造、抗生物質に対する感受性は、典型的なグラム陽性菌とは異なります。グラム陽性に染色される古細菌の例としては、メタノバクテリウム綱、メタノピュルス綱、メタノサルシナなどが挙げられます。
ヒトの病原細菌の多くはグラム陰性菌ですが、グラム陽性菌の中にも病原性を示すものが存在します。古典的には、以下の6つのグラム陽性菌がヒトの典型的な病原体として知られています。
球菌： ストレプトコッカス属とスタフィロコッカス属が代表的です。
* 桿菌： コリネバクテリウム属とリステリア属は芽胞を形成しませんが、バシラス属とクロストリジウム属は芽胞を形成します。芽胞形成細菌はさらに呼吸様式によって分類され、バシラス属は通性嫌気性菌、クロストリジウム属は偏性嫌気性菌です。
分子系統では、コリネバクテリウム属が放線菌門に属し、その他のストレプトコッカス属、リステリア属、バシラス属、クロストリジウム属はフィルミクテス門に属しています。
これらのグラム陽性菌は、様々な感染症を引き起こす可能性があり、適切な診断と治療が必要です。
かつてグラム陽性の真正細菌は、フィルミクテス門に一括して分類されていました。この門の名前は、グラム陽性菌の厚い細胞壁に由来し、ラテン語で「強固な皮膚」を意味する言葉から作られました。当時は、現在のフィルミクテス門に含まれる低GCグラム陽性細菌だけでなく、放線菌（高GCグラム陽性細菌）やデイノコックスも含まれていました。
グラム陽性菌の特徴
一般的にグラム陽性菌は以下の特徴を持ちます。
外膜を持たない： グラム陰性菌は細胞膜と外膜の二重の脂質膜に包まれているのに対し、グラム陽性菌は外膜を持ちません。
厚いペプチドグリカン層： グラム陰性菌に比べて、グラム陽性菌は細胞壁のペプチドグリカン層が厚いです。
タイコ酸とリポタイコ酸の存在： キレート因子として機能し、細胞の粘着性にも関わるタイコ酸とリポタイコ酸が存在します。特にリポタイコ酸は脂質成分を含み、膜に埋め込まれることでペプチドグリカン層を支える役割を果たします。
グラム染色法では、これらのペプチドグリカンの構造の違いが染色結果に現れます。グラム陽性菌は、厚いペプチドグリカン層がエタノールによる脱色を防ぎ、最初に染色したクリスタルバイオレットの紫色を保持します。一方、グラム陰性菌ではペプチドグリカン層が薄いため、クリスタルバイオレットが容易に脱色され、対比染色のサフラニンによる赤色が強く出ます。
グラム陽性菌の分類
多くのグラム陽性菌は、フィルミクテス門と放線菌門に分類されます。DNA中のグアノシンとシトシンの含有量が少ないものはフィルミクテス門、多いものは放線菌門に分類される傾向があります。グラム陽性菌に属する細菌の属としては、バシラス属、リステリア属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、エンテロコッカス属、クロストリジウム属などがよく知られています。また、細胞壁を持たないためにグラム染色できないモリクテス綱の細菌（例：マイコプラズマ）も広義にはグラム陽性菌に分類されることがあります。
さらに、デイノコックス・テルムス門に属するデイノコックスもグラム陽性に染色されることがあります。この細菌は非常に厚いペプチドグリカン層を持つため陽性となるものの、外膜を持つなど構造的にはグラム陰性菌に近い特徴も持っています。
真正細菌における分類は以下の通りです。
真正細菌ドメイン
フィルミクテス門： 外膜を持たない。ネガティウィクテス綱（外膜を保有）を除く4綱がグラム陽性です。
放線菌門： 外膜を持たない。6綱全てがグラム陽性ですが、抗酸菌は不定型です。
デイノコックス・テルムス門： 外膜を持つ。2目のうち、デイノコックス目がグラム陽性です。
クロロフレクサス門： リポ多糖がなく、外膜を欠くという報告があります。系統的にグラム陰性菌とグラム陽性菌が混在します。
テネリクテス門： 外膜を持たない。細胞壁を欠損しているためグラム陰性ですが、フィルミクテス門と非常に近縁であり、グラム陽性菌とされることもあります。
これらの5門に藍藻を加えた6門で、テッラバクテリアというクレードを形成するという仮説があります。
また、古細菌の中にもグラム陽性に染色されるものが存在します。しかし、その原因や細胞壁の構造、抗生物質に対する感受性は、典型的なグラム陽性菌とは異なります。グラム陽性に染色される古細菌の例としては、メタノバクテリウム綱、メタノピュルス綱、メタノサルシナなどが挙げられます。
グラム陽性菌による発病
ヒトの病原細菌の多くはグラム陰性菌ですが、グラム陽性菌の中にも病原性を示すものが存在します。古典的には、以下の6つのグラム陽性菌がヒトの典型的な病原体として知られています。
球菌： ストレプトコッカス属とスタフィロコッカス属が代表的です。
* 桿菌： コリネバクテリウム属とリステリア属は芽胞を形成しませんが、バシラス属とクロストリジウム属は芽胞を形成します。芽胞形成細菌はさらに呼吸様式によって分類され、バシラス属は通性嫌気性菌、クロストリジウム属は偏性嫌気性菌です。
分子系統では、コリネバクテリウム属が放線菌門に属し、その他のストレプトコッカス属、リステリア属、バシラス属、クロストリジウム属はフィルミクテス門に属しています。
これらのグラム陽性菌は、様々な感染症を引き起こす可能性があり、適切な診断と治療が必要です。
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