モータースポーツ、特にF1において「グランドスラム」は、ドライバーにとって最高の栄誉の一つと言えるでしょう。それは、単なる優勝以上の、圧倒的な支配力と完璧なレース運びを示す称号です。
では、具体的にグランドスラムとはどのような偉業なのでしょうか?それは、1回のレースにおいて以下の4つの条件をすべて満たすことを意味します。
1.
ポールポジション獲得:予選で最速タイムを記録し、決勝レースのスタートをトップグリッドから始めること。
2.
ファステストラップ記録:決勝レース中に記録された全ドライバーの中で最も速いラップタイムを記録すること。
3.
優勝:決勝レースで1位でフィニッシュすること。
4.
全周回ラップリーダー:レースの全周回でトップの順位を維持し続けること。
この4つの条件をすべて満たすことは、並外れたドライビングスキル、マシンの完璧な状態、そしてチームの戦略的なサポートが完璧に調和した結果と言えるでしょう。わずかなミスやトラブルでも、グランドスラム達成を阻む可能性があります。そのため、F1の歴史の中でもグランドスラムを達成したドライバーはごく僅かです。
F1におけるグランドスラムの記録
F1においてグランドスラムの達成は、非常に稀有な偉業です。多くのドライバーが優勝や
ポールポジションを獲得することはあっても、4つの条件を全て満たすことは至難の業と言えるでしょう。
年間獲得数最多は3回で、
アルベルト・アスカリ(1952年)、ジム・クラーク(1963年、1965年)、
ナイジェル・マンセル(1992年)、ルイス・ハミルトン(2017年)というレジェンドドライバーたちがその記録を打ち立てています。これらのドライバーたちは、それぞれの時代の頂点に立った名ドライバーであり、彼らの記録は、
モータースポーツの歴史に燦然と輝いています。
また、最年少でのグランドスラム達成記録は、
マックス・フェルスタッペンが
2021年オーストリアグランプリで達成した23歳277日です。これは、若き才能の開花を示すだけでなく、現代F1におけるハイレベルな競争環境の中で、彼がいかに優れた実力を持っているかを示すものと言えるでしょう。
グランドスラムとハットトリック
グランドスラムの条件から、全周回トップの条件が欠けた場合、それは「ハットトリック」と呼ばれます。ハットトリックも素晴らしい功績ですが、グランドスラムには及ばない、という認識が一般的です。
グランドスラムの起源
「グランドスラム」という名称は、
トランプゲームのコントラクト・ブリッジから由来しています。ブリッジにおいて、1ゲームに13回行われる勝負(ハンド)を全て勝利することをグランドスラムと呼び、それが他の競技にも転用されるようになりました。
まとめ
モータースポーツにおけるグランドスラムは、ドライバーの卓越した技量とチームの完璧な連携がなければ達成できない、稀有で栄誉ある偉業です。その達成者は、名実ともに
モータースポーツ界の頂点に君臨したと言えるでしょう。今後も、多くのドライバーがグランドスラムに挑戦し、その記録更新に挑み続けることでしょう。