グランド・セフト・オート・バイスシティ・ストーリーズ
『グランド・セフト・オート・バイスシティ・ストーリーズ』は、2006年にロックスター・ゲームスよりPSP向けに発売されたオープンワールド形式のクライムアクションゲームです。略称は『GTA:VCS』または『VCS』。開発はロックスター・ノースが担当しました。本作はグランド・セフト・オート（GTA）シリーズの外伝作品としては第3弾にあたり、メインシリーズの『グランド・セフト・オートIII』および『グランド・セフト・オート・バイスシティ』の過去の出来事を描いた前日譚シリーズの最終作にあたります。物語の時系列としてはシリーズ全体で最も古く、1984年のバイスシティを舞台としています。主人公は、『グランド・セフト・オート・バイスシティ』にもわずかに登場したランス・ヴァンスの兄、ヴィクター・ヴァンス。彼と弟ランスが、この街の裏社会でのし上がっていく壮絶な過程が描かれます。
日本国内では、2007年にカプコンからPSP版とPS2版がリリースされました。シリーズで初めて、実在する有名ミュージシャンが登場することも特筆すべき点です。
物語は、ドミニカ系アメリカ人の青年ヴィクター・ヴァンスが、家族、特に喘息を患う末弟ピートの医療費を稼ぐためにアメリカ陸軍に入隊するところから始まります。1984年、伍長としてバイスシティのバクスター基地に赴任したヴィクターは、着任早々、上官であるマルチネス軍曹の不正な麻薬取引に巻き込まれます。取引は失敗に終わり、ヴィクターは麻薬を隠し持っていることを利用され、マルチネスの策略によって不名誉除隊処分となってしまいます。
軍を追放され、生きる術を失ったヴィクターは、マルチネスの裏仕事で知り合った武器商人フィル・キャシディに頼り、裏社会での仕事を始めます。やがて、フィルの義弟でギャング「トレーラーパーク・マフィア」のリーダー、マーティー・ジェイ・ウィリアムズの元で働くことになりますが、マーティーが妻ルイーズに暴力を振るう様を見かねたヴィクターは彼を殺害。その拠点を奪い、「ヴァンス・クライム・ファミリー」を名乗ってギャングとして成り上がることを決意します。また、ルイーズとは次第に特別な関係へと発展していきます。
遅れてバイスシティにやってきた弟ランスと共に、ヴィクターは他のギャングの縄張りを襲撃して組織を拡大。キューバ系ギャングのリーダー、ウンベルト・ロビーナのような有力者とも交流を深め、裏社会での地位を確立していきます。しかし、マルチネスから盗んだ麻薬が原因で、バイスシティ最大の犯罪組織であるメンデス・ファミリーに目をつけられ、窮地に陥ります。一方で、その度胸と手腕を見込まれ、メンデス兄弟の仕事も請け負うようになります。やがて、彼らの顧客である奇妙な映画監督レニを通じて、麻薬売買の元締めリカルド・ディアスと知り合います。
ディアスはメンデス・ファミリーの排除を画策しており、ヴィクターたちを味方につけて抗争を仕掛けます。メンデス・ファミリーの首領アルマンドは、ヴィクターたちの裏切りを察知し、ランスとルイーズを拉致して報復に出ます。ヴィクターは二人を救出すべく敵のアジトに乗り込み、激しい戦いの末にアルマンドを倒します。しかし、マルチネスの陰謀により既にルイーズは致命傷を負っており、ヴィクターの腕の中で息を引き取ります。ルイーズの仇であるマルチネスを討つため、ヴィクターは軍用ヘリを奪い、最後の決戦に挑みます。マルチネスは兄の復讐を誓うディエゴ・メンデスと手を組みヴィクターを迎え撃ちますが、最終的に二人ともヴィクターによって倒されます。
全てが終わった後、駆けつけた弟ランスが新たな麻薬ビジネスを持ちかけますが、ヴィクターはもはや裏社会には興味がないことを示唆します。弟と共に、ヴィクターは弟ピートの医療費を届けるため、バイスシティを後にします。
本作のシステムは、前作『グランド・セフト・オート・リバティーシティ・ストーリーズ』（LCS）を基盤としつつ、操作性などに改良が加えられています。また、自分自身の犯罪組織を拡大していく「物件経営／エンパイアビルディング」など、実験的な新要素も導入されています。クリア済みの殺戮ミッションに再挑戦できるほか、前作同様にマルチプレイも実装されています。マップは『グランド・セフト・オート・バイスシティ』と一部異なりますが、入れる店舗は大幅に増えています（買い物は不可）。
乗り物では、シリーズで初めてジェットスキーが登場し、水上移動の幅が広がりました。その他にも、水陸両用車、様々な種類のヘリ、自転車、ホバークラフト、ブルドーザー、小型飛行機など、バラエティ豊かな乗り物が利用可能です。
アクション面では、『グランド・セフト・オート・サンアンドレアス』（SA）で好評だった水泳が可能になりました（潜水はできません）。素手での格闘システムも進化し、『SA』に近いガードや掴み攻撃、ダウンした相手への追撃、羽交い絞めなどが追加されています。ただし、『SA』のように壁や障害物をよじ登ることはできません。
収集要素としては、従来の隠しアイテム収集が、街中に浮かぶ99個の赤い風船を割るという形に変更されました。割った数に応じて特典が得られるシステムです。また、達成率100%になると、メインミッションのデモシーンを閲覧できるモードが解禁されます。
主人公のヴィクター・ヴァンスをはじめ、ハイテンションな弟ランス・ヴァンス、悲劇的な運命を辿るルイーズ・キャシディ・ウィリアムズ、武器商人フィル・キャシディ、麻薬王リカルド・ディアス、キューバ系ギャングのウンベルト・ロビーナ、宿敵となるマルチネス軍曹やメンデス兄弟など、個性豊かなキャラクターが登場します。特に注目すべきは、実在のミュージシャンであるフィル・コリンズが本人役で登場し、ゲーム内のライブで自身の楽曲を披露するミッションがあることです。
本作には他のシリーズ作品と比較して、大小様々な不具合が存在することが指摘されています。例えば、車両の奇妙な張り付き、ミッション中の音声欠落、建物が表示されず衝突してしまう、メインミッションクリア後に通行人や車両が極端に減少するなどです。
PS2版はPSP版と比較して、チェーンソーなどによる出血表現がより激しく（北米版）、車両購入ポイントが高く設定されていたり、一部ミッションやチャレンジの数が増加していたりする点が異なります。
日本版においては、暴力表現に関する独自の規制が設けられています。具体的には、出血表現の削除、人体欠損の削除、一般市民殺害時の所持金ドロップなし、遺体への追撃不可、銃の発砲による手配度上昇の確定化、そして物件経営における犯罪行為の名称変更（「麻薬」→「砂糖」、「売春」→「派遣」）などが行われています。
日本国内では、2007年にカプコンからPSP版とPS2版がリリースされました。シリーズで初めて、実在する有名ミュージシャンが登場することも特筆すべき点です。
物語の始まりと展開
物語は、ドミニカ系アメリカ人の青年ヴィクター・ヴァンスが、家族、特に喘息を患う末弟ピートの医療費を稼ぐためにアメリカ陸軍に入隊するところから始まります。1984年、伍長としてバイスシティのバクスター基地に赴任したヴィクターは、着任早々、上官であるマルチネス軍曹の不正な麻薬取引に巻き込まれます。取引は失敗に終わり、ヴィクターは麻薬を隠し持っていることを利用され、マルチネスの策略によって不名誉除隊処分となってしまいます。
軍を追放され、生きる術を失ったヴィクターは、マルチネスの裏仕事で知り合った武器商人フィル・キャシディに頼り、裏社会での仕事を始めます。やがて、フィルの義弟でギャング「トレーラーパーク・マフィア」のリーダー、マーティー・ジェイ・ウィリアムズの元で働くことになりますが、マーティーが妻ルイーズに暴力を振るう様を見かねたヴィクターは彼を殺害。その拠点を奪い、「ヴァンス・クライム・ファミリー」を名乗ってギャングとして成り上がることを決意します。また、ルイーズとは次第に特別な関係へと発展していきます。
遅れてバイスシティにやってきた弟ランスと共に、ヴィクターは他のギャングの縄張りを襲撃して組織を拡大。キューバ系ギャングのリーダー、ウンベルト・ロビーナのような有力者とも交流を深め、裏社会での地位を確立していきます。しかし、マルチネスから盗んだ麻薬が原因で、バイスシティ最大の犯罪組織であるメンデス・ファミリーに目をつけられ、窮地に陥ります。一方で、その度胸と手腕を見込まれ、メンデス兄弟の仕事も請け負うようになります。やがて、彼らの顧客である奇妙な映画監督レニを通じて、麻薬売買の元締めリカルド・ディアスと知り合います。
ディアスはメンデス・ファミリーの排除を画策しており、ヴィクターたちを味方につけて抗争を仕掛けます。メンデス・ファミリーの首領アルマンドは、ヴィクターたちの裏切りを察知し、ランスとルイーズを拉致して報復に出ます。ヴィクターは二人を救出すべく敵のアジトに乗り込み、激しい戦いの末にアルマンドを倒します。しかし、マルチネスの陰謀により既にルイーズは致命傷を負っており、ヴィクターの腕の中で息を引き取ります。ルイーズの仇であるマルチネスを討つため、ヴィクターは軍用ヘリを奪い、最後の決戦に挑みます。マルチネスは兄の復讐を誓うディエゴ・メンデスと手を組みヴィクターを迎え撃ちますが、最終的に二人ともヴィクターによって倒されます。
全てが終わった後、駆けつけた弟ランスが新たな麻薬ビジネスを持ちかけますが、ヴィクターはもはや裏社会には興味がないことを示唆します。弟と共に、ヴィクターは弟ピートの医療費を届けるため、バイスシティを後にします。
ゲームシステムの特徴
本作のシステムは、前作『グランド・セフト・オート・リバティーシティ・ストーリーズ』（LCS）を基盤としつつ、操作性などに改良が加えられています。また、自分自身の犯罪組織を拡大していく「物件経営／エンパイアビルディング」など、実験的な新要素も導入されています。クリア済みの殺戮ミッションに再挑戦できるほか、前作同様にマルチプレイも実装されています。マップは『グランド・セフト・オート・バイスシティ』と一部異なりますが、入れる店舗は大幅に増えています（買い物は不可）。
乗り物では、シリーズで初めてジェットスキーが登場し、水上移動の幅が広がりました。その他にも、水陸両用車、様々な種類のヘリ、自転車、ホバークラフト、ブルドーザー、小型飛行機など、バラエティ豊かな乗り物が利用可能です。
アクション面では、『グランド・セフト・オート・サンアンドレアス』（SA）で好評だった水泳が可能になりました（潜水はできません）。素手での格闘システムも進化し、『SA』に近いガードや掴み攻撃、ダウンした相手への追撃、羽交い絞めなどが追加されています。ただし、『SA』のように壁や障害物をよじ登ることはできません。
収集要素としては、従来の隠しアイテム収集が、街中に浮かぶ99個の赤い風船を割るという形に変更されました。割った数に応じて特典が得られるシステムです。また、達成率100%になると、メインミッションのデモシーンを閲覧できるモードが解禁されます。
登場人物
主人公のヴィクター・ヴァンスをはじめ、ハイテンションな弟ランス・ヴァンス、悲劇的な運命を辿るルイーズ・キャシディ・ウィリアムズ、武器商人フィル・キャシディ、麻薬王リカルド・ディアス、キューバ系ギャングのウンベルト・ロビーナ、宿敵となるマルチネス軍曹やメンデス兄弟など、個性豊かなキャラクターが登場します。特に注目すべきは、実在のミュージシャンであるフィル・コリンズが本人役で登場し、ゲーム内のライブで自身の楽曲を披露するミッションがあることです。
バージョンによる違いと日本版の規制
本作には他のシリーズ作品と比較して、大小様々な不具合が存在することが指摘されています。例えば、車両の奇妙な張り付き、ミッション中の音声欠落、建物が表示されず衝突してしまう、メインミッションクリア後に通行人や車両が極端に減少するなどです。
PS2版はPSP版と比較して、チェーンソーなどによる出血表現がより激しく（北米版）、車両購入ポイントが高く設定されていたり、一部ミッションやチャレンジの数が増加していたりする点が異なります。
日本版においては、暴力表現に関する独自の規制が設けられています。具体的には、出血表現の削除、人体欠損の削除、一般市民殺害時の所持金ドロップなし、遺体への追撃不可、銃の発砲による手配度上昇の確定化、そして物件経営における犯罪行為の名称変更（「麻薬」→「砂糖」、「売春」→「派遣」）などが行われています。
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