グランマ・プリスブリーのボトルヴィレッジ

グランマ・プリスブリーのボトルヴィレッジ

グランマ・プリスブリーのボトルヴィレッジは、カリフォルニア州シミバレーに位置する、廃棄されたボトルなどのリサイクル品を活用した独創的な環境アート作品です。この「村」は、1950年代から1970年代にかけて、「グランマ」ことトレッサ・プリスブリー（1896-1988）によって、地元のゴミ処理場から集めた廃材やリサイクル品を用いて制作されました。

建造物群

約0.13ヘクタールの敷地には、トレッサが一人で作り上げた、聖堂、願いの井戸、歩道、噴水、そして様々な家屋が点在しています。ハート、ダイヤモンド、スペードの形をした飛び石は、トレッサがラスベガスを訪れた際の思い出を象徴しており、セメントで形を作り、ハサミなどの再利用品を詰め込んで作られています。特に目を引くのが、彼女が所蔵していた600体もの人形コレクションを収めるために建てられたドールハウスです。トレッサは毎日このドールハウスを訪れ、人形の着せ替えを楽しんでいたそうです。

トレッサ・プリスブリー

トレッサ・プリスブリーは、1896年にミネソタ州で生まれ、12歳まで学校に通いました。その後、ノースダコタ州で主に政治を学び、15歳で37歳年上の姉の前夫と結婚。14年間の結婚生活で7人の子供をもうけました。その後、シアトルに移住し再婚するも、短期間で離婚。7人の子供のうち、6人は彼女の存命中に亡くなっています。1956年、アル・プリスブリーと結婚し、60歳でボトルヴィレッジの建設を開始しました。1961年頃にはおおむね完成していましたが、1980年代まで構造物の追加や修正を続けていました。1972年に引っ越した後も、村のそばのトレーラーに戻って暮らし、彫刻や花のプランターを付け加えていたそうです。

1982年、体調を崩しシミバレーを離れ、サンフランシスコの娘夫婦の元へ。1986年には、ボトルヴィレッジ保全委員会に土地を寄贈。1988年、脳卒中の合併症でサンフランシスコの療養病院で亡くなりました。

地震による被害

1984年に一般公開を終えた後、1994年のノースリッジ地震でボトルヴィレッジは大きな被害を受けました。連邦緊急事態管理庁（FEMA）から資金援助を受けたものの、修復に必要な十分な資金が集まらず、現在も放置された状態が続いています。芸術家であり、保存委員長も務めたジョアン・ジョンソンは、「廃棄物から作られたものが、今また捨てられている」と、その状況を皮肉に語っています。

評価

美術史家や民俗学者は、ボトルヴィレッジがトレッサの複雑な感情の表れであると評価しています。アメリカ合衆国国立公園局の資料によると、この作品は彼女のコレクションを保全するだけでなく、家族や人生の出来事を記念し、失った家族を悼み、訪れる人々を楽しませたいという思い、そして彼女自身の個人的な考えや情熱、発想の証を残したいという複合的な動機から生まれたものとされています。また、1950年代後半から1960年代前半にかけて大量に排出された廃棄物から作られた珍しい作品としても注目されています。

歴史的建造物としての指定

ボトルヴィレッジは、ベンチュラ郡、シミバレー、そしてカリフォルニア州によって歴史的建造物として指定されています（カリフォルニア歴史的建造物第939号）。1996年には、アメリカ合衆国国家歴史登録財にも登録されました。

影響

2004年には、メリッサ・エスクリッジ・スレイメイカーによる子ども向けの本「Bottle Houses: The Creative World of Grandma Prisbrey」が出版され、ボトルヴィレッジが紹介されています。

関連文献

Rosen, Seymour. 1979. "In Celebration of Ourselves." California Living Books in conjunction with San Francisco Museum of Modern Art.
Wojcik, Daniel. 2017. Outsider Art: Visionary Worlds and Trauma. Jackson: University Press of Mississippi.

外部リンク

Grandma Prisbrey's Bottle Village
Facebook (BottleVillage)
* YouTube

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