ノースリッジ地震

ノースリッジ地震：ロサンゼルスを襲った激震

1994年1月17日、アメリカ・ロサンゼルスを未曾有の激震が襲いました。この地震は、ノースリッジ地震と呼ばれ、マグニチュード6.7を記録しましたが、震源がわずか14.6kmと非常に浅かったため、地表に強い揺れをもたらしました。早朝4時30分という時間帯であったにもかかわらず、この地震は多くの人々の生活に大きな影響を与え、アメリカ史上最も経済的損失の大きい自然災害の一つとして記録されました。

地震の概要

震源はロサンゼルスの北東32kmに位置するサンフェルナンド・バレーで、当初はノースリッジ地方と考えられていましたが、実際にはレセダ地方で発生したことが判明しています。アメリカ海洋大気庁国立地球物理データセンター（NGDC）が算出した震央の地理座標は、北緯34.213度、西経118.537度となっています。

地震の揺れは震源から77kmの範囲に及び、特にサンフェルナンド・バレー西部とサンタモニカでは甚大な被害が発生しました。高速道路では、連邦国道10号（サンタモニカ高速道路）とカリフォルニア州道14号（アンテロープバレー高速道路）が完全に破壊され、再建を余儀なくされました。

人的・物的被害

この地震による人的被害は、死者57名、負傷者約5,400人、入院患者1,467人に上りました。しかし、地震発生時刻が早朝であったこと、そしてその日がキング牧師記念日という祝日であったことから、人的被害は最小限に抑えられたという見方もあります。

一方で、物的被害は甚大でした。特に、高速道路の崩壊は衝撃的であり、アメリカのインフラの脆弱性を露呈しました。また、多くの商業施設も倒壊しましたが、カリフォルニア州では以前から地震活動が知られていたため、建築基準法により構造設計が義務付けられており、倒壊した建物の中には、その基準に違反していたものもあったという事実も判明しました。

地震の特徴と影響

ノースリッジ地震は、衝上断層型地震であり、加速度は広範囲で1.0Gに達しました。主な被害は横揺れによって発生しましたが、一部の地域では火災や地形の変形も被害を拡大させました。特に、地面が50cmも隆起した地域もあり、地殻変動の激しさを物語っています。

カリフォルニア州では過去にも大きな地震が発生しており、ノースリッジ地震は、1971年のサンフェルナンド地震（Mw6.6）や1989年のロマ・プリータ[[地震]]（Mw6.9）に次ぐ規模の被害をもたらしました。また、アメリカ全体で見ると、1906年のサンフランシスコ[[地震]]以来、最大規模の被害をもたらした地震の一つであり、経済的損失は1992年のハリケーン・アンドリューに匹敵すると言われています。

復旧・復興への動き

この地震では、いくつかの重要な病院が被災し、使用不能となる事態が発生しました。これにより、救急医療体制が混乱し、患者の受け入れや搬送に大きな支障をきたしました。この教訓から、カリフォルニア州議会は2005年1月1日、すべての病院に対して、救急医療部と救急室の耐震構造を義務付ける法律を可決しました。

また、シミバレーにあるグランマ・プリスブリーのボトルヴィレッジなど、歴史的建造物も被害を受けました。しかし、この災害で捜索救難と復興に威力を発揮したのが、1979年に設立されたアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁（FEMA）でした。

日本への教訓

ノースリッジ地震からちょうど1年後の1995年1月17日、日本で阪神・淡路大震災が発生しました。この二つの地震は、「早朝に発生した」「激震で高速道路が倒壊した」という共通点を持っていました。ノースリッジ地震で高速道路が倒壊した光景を見た日本の専門家は、「日本の[[高速道路]]は耐震設計が十分なので大丈夫だろう」と楽観視していましたが、阪神・淡路大震災で阪神[[高速道路]]などが倒壊したことで、その安全神話は脆くも崩れ去りました。

ノースリッジ地震は、地震大国である日本にとっても、多くの教訓を残しました。地震対策は常に最新の知見に基づいて見直す必要があり、過去の経験に過信することなく、常に最悪の事態を想定した備えが重要であることを、この地震は教えてくれています。

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