グランヴィル・レドモンド

グランヴィル・リチャード・シーモア・レドモンド（Granville Richard Seymour Redmond, 1871年3月9日 - 1935年5月24日）は、アメリカ合衆国を代表する画家であり、「トーナリズム」と「カリフォルニア印象派」の重要な担い手として知られています。

彼は、その生涯において聴覚障害を抱えながらも、芸術の道で卓越した才能を発揮しました。また、映画界の巨匠であるチャールズ・チャップリンとの友情は、彼の人生において重要な要素の一つであり、チャップリンの映画にも出演するなど、多岐にわたる活躍を見せました。

生い立ちと教育

1871年、ペンシルベニア州フィラデルフィアで生まれたレドモンドは、2歳半の時に猩紅熱（しょうこうねつ）に罹患し、その影響で3歳までに聴覚を失いました。家族は、彼の教育環境を考慮し、カリフォルニア州サンノゼに移住することを決意しました。彼は、バークレー聾学校に入学し、1879年から1890年までの間、そこで学びました。

聾学校では、教師であるテオフィラス・デステラから絵画の指導を受け、芸術的な才能を開花させました。その後、サンフランシスコのカリフォルニア絵画学校に進学し、アーサー・フランク・マシューズやアメデ・ジュランといった著名な画家から指導を受けました。

また、カリフォルニアで活動していた画家ゴタルド・ピアッツォーニとも親交を深めました。ピアッツォーニは、レドモンドと共同生活を送る中でアメリカ式手話を習得するなど、二人の間には深い絆が築かれました。

パリ留学と画家としての成長

1893年、レドモンドはカリフォルニア聾学校からの奨学金を得て、パリのアカデミー・ジュリアンに留学しました。ここでは、ジャン＝ポール・ローランスとジャン＝ジョセフ・バンジャマン＝コンスタンという巨匠に師事し、絵画技術をさらに磨きました。留学中、同じくカリフォルニア聾学校の卒業生であった彫刻家ダグラス・ティルデンと同室で生活し、互いに刺激し合いながら芸術活動に励みました。1895年には、パリのサロン・ド・パリへの出展が受理されるなど、その才能は国際的に認められるようになりました。

カリフォルニアでの活動とチャップリンとの出会い

1898年にカリフォルニアに戻ったレドモンドは、ロサンゼルスに居を構えました。1899年に結婚し、3人の子供をもうけました。ロサンゼルスでの生活の中で、彼はチャールズ・チャップリンと出会い、深い友情を育むことになりました。チャップリンは、アメリカ式手話を使う聴覚障害者の表現力に着目し、サイレント映画の表現に活かすことを考えていました。レドモンドは、その才能を認められ、チャップリンの撮影所にスタジオを与えられただけでなく、彼の作品を収集してもらうなど、芸術家として大きな支援を受けました。

レドモンドは、チャップリンの映画「街の灯」に彫刻家役で出演するなど、俳優としても活動しました。画家としては、主に風景画を多く描き、その作品は、自然の美しさと繊細な表現で高く評価されています。

作品と映画出演

レドモンドの作品は、トーナリズムとカリフォルニア印象派の影響を受けており、色彩豊かで情緒的な風景描写が特徴です。彼の作品は、現在も多くの美術館やギャラリーで展示されており、多くの人々を魅了しています。

映画俳優としては、チャップリンの映画に多く出演しました。主な作品としては、「犬の生活」（1918年）、「サニーサイド」（1919年）、「一日の行楽」（1919年）、「キッド」（1921年）、「街の灯」（1931年）などがあります。これらの映画で、彼は、その演技力だけでなく、聴覚障害を持つ人々の表現力を広く知らしめる役割も果たしました。

グランヴィル・レドモンドは、聴覚障害を乗り越え、画家、俳優として多岐にわたる才能を発揮した偉大な芸術家でした。彼の生涯は、逆境にも屈せず、自身の才能を信じて努力することの大切さを私たちに教えてくれます。

外部リンク

Biographical information at AskART.com
Artcyclopedia list of galleries where Redmond's works are shown
Redmond Biography
グランヴィル・レドモンド - IMDb（英語）
* Collections at AllPainter.com

もう一度検索