グリムセイ島

グリムセイ島：北極圏に抱かれた孤島

グリムセイ島は、アイスランド本土から北へ約40kmの北極海上に浮かぶ小さな島です。面積は5.3km²、最高地点は105mと、平坦な地形が広がります。この島の最大の特徴は、北極線（北緯66度33分）が島の中央部を横切っていることです。これにより、島の北部約3分の1は北極圏内に位置し、アイスランド最北の居住地となっています。

地理と景観

島全体は巨大な岩の塊のような様相を呈しており、海岸線のほとんどは切り立った崖になっています。数十メートルもの高さの崖が連続し、柵などは設置されていないため、足元には十分な注意が必要です。南部の低地や南西の一部の緩やかな崖を下った場所が、唯一水辺にアクセスできる場所です。舗装された道路はなく、地面を固めただけの道が中心です。中心集落周辺は比較的整備されていますが、それ以外は砂利道が多く、起伏もあるため、歩きやすい靴が必須です。

島内には樹木はほとんど見られませんが、地表は豊かな草や苔で覆われています。

生活と交通

グリムセイ島の人口は約77人。住民の多くは漁業に従事しており、病院は無く、医師が3週間に一度、飛行機で診察に訪れます。最寄りの島は本島に近いフラティー島で、グリムセイ島から南に約39.4km離れています。

アークレイリ空港から定期便が就航しており、飛行時間は約30分です。フェリーも利用可能で、ダールヴィークから約3時間で到着します（月、水、金のみ運航）。島内には公共交通機関やタクシーはなく、基本的には徒歩での移動となります。

商業施設と宿泊

島内には、2軒の宿を含むわずか6軒の商業施設しかありません。これらの施設は、島民の生活を支えるとともに、観光客にとっても重要な存在です。

ゲストハウス・バゥサル (Básar)：空港のすぐそばに位置し、北極線のモニュメントが見えます。
ゲストハウス・グトルソゥル (Gullsól) とギャラリー・ソゥル (Gallerí Sól)：1階がギャラリー、2階がゲストハウスになっています。ギャラリーでは土産物、コーヒー、軽食などを購入できる他、北極圏到達証明書も販売しています。
レストラン・クリーアン (Krían)：島で獲れた新鮮な魚やパフィン料理を提供しています。
スーパーマーケット・ブーズィン (Búðin)：郵便局も併設されています。
ガソリンスタンド・N1：無人の古いポンプが置かれているだけです。

宿泊施設としては、キャンプ場も利用可能です。

観光の見どころ

グリムセイ島は、野鳥観察の楽園として知られています。特に、アイスランドの象徴とも言えるパフィンを間近で観察できます。その他、キョクアジサシやカモメなど、多種多様な鳥が生息しています。キョクアジサシは平地に巣を作るため、近づくと攻撃してくることがあるので注意が必要です。

また、島のシンボルとなっているのが北極線のモニュメントです。空港から少し北に進むと、このモニュメントを見つけることができます。この場所は定番の写真撮影スポットであり、世界各地への距離が記されています。

さらに、夏至には24時間太陽が沈まない「真夜中の太陽」を体験できます。島の北端からは、太陽が水平線に近づき、再び昇っていく様子を観察できます。ただし、グリムセイ島は西経18度1分に位置するため、太陽が最も水平線に近づくのは午前1時過ぎとなります。島の中心集落から北端までは、徒歩で1時間半から2時間ほどかかります。

アークレイリからのフライトは観光化しており、往復フライトを利用すると、ノーランド・エア発行の「北極圏到達証明書」がもらえます。

注意点

海岸線は切り立った崖が多いため、転落に注意が必要です。
舗装された道は少なく、起伏も多いので、歩きやすい靴を用意してください。
夏期以外はレストランが営業していない場合があるので、事前に連絡することをお勧めします。
* キョクアジサシの営巣地には近づかないようにしてください。

グリムセイ島は、手つかずの自然と北極圏の神秘的な魅力を体験できる、貴重な場所です。訪れる際には、自然への敬意を忘れずに、安全に配慮して楽しんでください。

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