グリーゼ180

グリーゼ180

グリーゼ180（Gliese 180）は、太陽から比較的近い約39光年離れた位置にある赤色矮星です。この恒星は、少なくとも3つの太陽系外惑星を持つことが確認されており、生命が存在し得る可能性のある惑星を含むとして、天文学者の関心を集めています。

惑星系の発見と特徴

グリーゼ180の周囲を公転する惑星の存在は、2014年に明らかになりました。ヨーロッパ南天天文台が以前取得していた観測データを詳細に分析した結果、視線速度法を用いて2つの惑星、グリーゼ180bとグリーゼ180cが見つかったのです。この発見は、既存データの再評価が新たな知見をもたらす好例と言えます。

発見当初、プエルトリコにある惑星居住研究所（PHL）は、これらの惑星が恒星の周囲の「ハビタブルゾーン」（生命が存在するために液体の水が存在し得ると考えられる領域）内に位置する可能性を示唆しました。推定される質量は、惑星bが地球の約6.4倍、惑星cが地球の約8.3倍と、いずれも地球よりかなり大きな「スーパーアース」やそれに近いサイズと考えられています。

しかし、惑星のハビタブルゾーンにおける位置については、発見者の一人であるハートフォードシャー大学の天文学者ミッコ・トゥオミ氏が異なる見解を示しています。トゥオミ氏は、惑星cのみがハビタブルゾーン内にあり、惑星bは恒星に近すぎて温度が高すぎると指摘しています。また、PHLが示したハビタブルゾーンの範囲は、従来の計算方法で求められるよりもかなり広く、その計算根拠が不明瞭な点に疑問を呈しています。このことは、ハビタブルゾーンの定義や範囲推定が、研究者によって異なる可能性があり、今後の研究でさらに検証が必要であることを示唆しています。

新たな惑星グリーゼ180dの発見

その後、2020年には、この惑星系に3つ目の惑星、グリーゼ180dが発見されました。この惑星も質量が地球の数倍程度と推測されるスーパーアースに分類されます。重要な点として、グリーゼ180dは恒星のハビタブルゾーン内に位置している可能性が高いとされています。

さらに、多くの惑星が主星に非常に近い軌道を公転する場合に起こる「潮汐固定」（惑星の片面が常に主星に向いてしまう現象）が、グリーゼ180dでは起こっていない可能性が考えられています。潮汐固定されていない場合、惑星は自転しているため、昼夜の差が生まれ、より安定した環境が維持されやすくなります。これは、生命が存在できる環境にとって有利な条件となり得ます。

まとめ

グリーゼ180惑星系は、地球から比較的近く、複数のスーパーアース級の惑星を持ち、その中にはハビタブルゾーンに位置する可能性が指摘されている惑星（特にグリーゼ180dや、一部の見解によるグリーゼ180c）が存在します。ハビタブルゾーン内での惑星の位置や、それが生命存在にどれほど適しているかについては、まだ議論の余地がありますが、グリーゼ180系は、今後の太陽系外惑星探査、特に生命の痕跡を探る上で、非常に興味深いターゲットの一つと言えるでしょう。

もう一度検索