グリーンライン (キプロス)

グリーンライン：キプロスを分断する緩衝地帯

グリーンラインは、キプロス島を南北に分断する緩衝地帯の通称です。1974年に発生した紛争後、国際連合の主導によって設けられました。正式名称は「国際連合キプロス緩衝地帯（United Nations Buffer Zone in Cyprus）」であり、キプロスバリア、またはアッティラ・ラインとも呼ばれます。

概要

全長約300キロメートルに及ぶグリーンラインは、島の北部約37%を占めるトルコ系住民が分離独立を主張する地域と、ギリシャ系住民が支配する南部を隔てています。首都ニコシアもこの緩衝地帯によって分断されており、島の分断の象徴となっています。

構造

グリーンラインは、物理的な障壁と監視体制によって構成されています。具体的には、コンクリート壁、有刺鉄線、監視塔などが設置され、戦車などの侵入を防ぐための障害物や地雷敷設区域も存在します。この地域は、国際連合キプロス平和維持軍 (UNFICYP) によって定期的にパトロールされ、停戦の維持が図られています。

グリーンラインを巡る状況

グリーンラインは、キプロス紛争の歴史と民族間の対立を色濃く反映しています。紛争終結後も、島の南北は分断された状態が続いており、グリーンラインは人々の生活や文化にも大きな影響を与えています。

近年では、一部の検問所が開放され、南北間の交流も行われるようになっていますが、依然として緊張状態が続いています。グリーンラインは、キプロス問題の解決に向けた課題を象徴する存在と言えるでしょう。

関連事項

アクロティリおよびデケリア：イギリスの海外領土であり、キプロス島内に位置する。
国際連合キプロス平和維持軍：グリーンラインの維持活動を行う国連軍。
内戦・内乱：キプロス紛争の背景にある民族対立。
キプロス紛争：グリーンラインが設置されるきっかけとなった紛争。
ニコシア国際空港：グリーンライン上に位置する廃空港。
民族紛争：キプロス紛争の根本原因。

グリーンラインは、キプロス島の複雑な歴史と現状を物語る遺産です。その存在は、紛争の傷跡を伝えるとともに、平和への願いを込めた象徴として、今後も注目されていくでしょう。

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