グリーン車 (京王)

京王電鉄における「グリーン車」とは、京王線初代5000系や井の頭線3000系よりも前に活躍した、緑色の単色塗装が特徴的な鉄道車両の総称です。この独特なカラーリングは、京王電鉄の歴史を語る上で欠かせない要素の一つとなっています。

グリーン車誕生の背景

京王の車両に緑色塗装が初めて採用されたのは、東京急行電鉄（大東急）時代に遡ると言われています。当時の詳しい経緯は定かではありませんが、1950年代半ばまではダークグリーンが用いられていました。

色の変化

1956年（昭和31年）に登場した京王線2700系3次車では、より明るいライトグリーンへと変更されました。さらに1965年（昭和40年）頃からは、スタンリットライトグリーンと呼ばれる、一段と鮮やかな緑色が採用されるようになります。

このスタンリットライトグリーンのマンセル測定値は 7.5GY 5/6 であり、日本国有鉄道（国鉄）の黄緑6号に近い色合いでした。当時の鉄道車両としては、比較的珍しい色使いであったと言えるでしょう。

グリーン車の終焉と現在

1984年（昭和59年）に京王線2010系および井の頭線1000系（初代）が引退したことで、京王の営業路線から緑色の車両はその姿を消しました。しかし、その記憶は今もなお、多くの鉄道ファンの中に生き続けています。

現在、スタンリットライトグリーン塗装の車両は、京王れーるランドに保存されているデハ2410とデハ2015で見ることができます。これらの車両は、往年の姿を偲ぶ貴重な存在となっています。

また、高尾山エリアの魅力をPRする「TAKAOプロモーション」の一環として、2015年（平成27年）9月30日から8000系8713編成にグリーン車を模したラッピングが施されました。これは、かつてのグリーン車を現代に蘇らせる試みとして、大きな話題を呼びました。

参考文献

京王帝都ファンクラブ「私鉄車両めぐり (65)　京王帝都電鉄」、『鉄道ピクトリアル』アーカイブスセレクション 9 再掲、2005年、電気車研究会。
中山嘉彦「京王車両 -音と色-」、『鉄道ピクトリアル』893、2014年、電気車研究会。
鈴木洋「京王線 グリーン車の時代」、『RM LIBRARY 163』、2013年、ネコ・パブリッシング。

関連項目

国鉄色
黄緑6号
黄緑7号
東急グリーン
南海グリーン
* 京阪グリーン

京王電鉄のグリーン車は、単なる色合い以上の意味を持つ、鉄道史における重要な存在です。その歴史と魅力を、ぜひ知っていただければ幸いです。

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