グルジア軍道

グルジア軍道

グルジア軍道（Georgian Military Road）は、コーカサス山脈を越えてグルジアとロシアを結ぶ重要な幹線道路です。この道の全長は約212キロメートルで、ウラジカフカスからトビリシへと至ります。古代から貿易や侵略者によって利用されてきたこの経路は、自然の美しさと歴史的意義を兼ね備えています。

経路の特徴

グルジア軍道はウラジカフカスからテレク川沿いに南下し、ダリエル渓谷を通過します。その後、南西に向かい、カズベク山と三位一体教会を背景に見ながら進みます。道の最高地点は十字架峠（標高2,379メートル）であり、ここからは周囲の壮大な景色を楽しむことができます。この峠を越えた先には「ロシア・グルジア友好のモニュメント」が立っており、1783年のギオルギエフスク条約の200周年を記念して建設されました。

道はさらに南東へ向かい、ムティウレティやパサナウリといった町を通過します。最終的には古都ムツヘタに達し、ここで東西幹線道路（E60号線）と接続します。この経路は、環境の美しさから1914年版の旅行書では「世界で最も美しい山岳道路のひとつ」と紹介されています。

歴史的背景

この軍道は古代から知られ、ストラボンや大プリニウスの著作にも言及されています。1769年にはロシア軍によって軍事利用が始まりました。特に1783年にはパーヴェル・ポチョムキンが道路改良を命令し、トビリシまで馬車が通行できるようになりました。その後、1799年から1817年にかけて、更なる改良工事が行われました。

1837年に完成したこの道は、ロシア・チェルケス戦争や地域経済の発展にも寄与しました。道の品質は非常に高く、1890年代の報告によると当時のロシアでは他にまともな道路がほとんど存在しなかったことから、その重要性は際立っています。

現在の状況

近年、グルジア軍道は自然災害や政治的な影響により、その重要性が揺らいでいます。特に2006年にロシアが国境を閉鎖したことは、大きな影響を及ぼしました。しかし、2013年からは国境が再開されたことにより、アルメニアとロシア間の重要な交通路として再び利用されるようになりました。それに伴い、トレーラーや貨物自動車による輸送が増えています。

とはいえ、ジョージア市民に対する交通制限は依然として多く残っています。また、現在もラルスのチェックポイントを通過するためには、一定の時間を要することがあります。これにより、しばしば交通渋滞が発生する要因ともなっています。

グルジア軍道は、今もなお歴史と文化が息づく道として、その魅力を保ち続けているのです。この道を歩くことで、訪れる人々は過去と現在が交錯する瞬間を体験することができるでしょう。

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