グレグ・ペイジ

グレグ・ペイジ

（Greg Page、1958年10月25日 - 2009年4月27日）

アメリカ合衆国の元プロボクサー。ケンタッキー州ルイビル出身。世界ボクシング協会（WBA）世界ヘビー級王者として知られる。

キャリア初期

1979年2月16日にプロとしてのキャリアをスタートさせた。デビュー以来快進撃を続け、1981年2月7日には空位となっていた全米ボクシング協会（USBA）ヘビー級王座を獲得した。デビューからの連勝記録を19まで伸ばしたが、1982年6月11日に行われたノンタイトル戦でトレバー・バービックに判定負けを喫し、プロでの初黒星となった。

世界王座への挑戦と獲得

世界王座獲得を目指し、1984年3月9日には世界ボクシング評議会（WBC）世界ヘビー級王座の決定戦に挑んだが、ティム・ウィザスプーンに判定で敗れ、このタイトル獲得はならなかった。同年8月31日には、USBA全米ヘビー級王座の防衛戦でデビッド・ベイに敗れ、長らく保持していたタイトルを失った。

しかし、その数ヶ月後、1984年12月1日にゲリー・コーツィーが持つWBA世界ヘビー級王座に挑戦する機会を得た。この試合でペイジは8ラウンドTKOによる勝利を収め、ついに世界王者のベルトを手にした。しかし、その栄光は長く続かなかった。初防衛戦でトニー・タッブスと対戦し、1985年4月29日に判定負けを喫し、わずか数ヶ月で王座から陥落した。

キャリア後半と引退、復帰

世界王座陥落後もキャリアを続け、1990年にはマイク・タイソンのスパーリングパートナーとして日本を訪れた際に、タイソンをダウンさせる一幕もあった。1993年8月6日の試合でブルース・セルドンに敗れた後、一度は現役を退いた。しかし、約3年のブランクを経て1996年5月16日にリングに復帰した。

ボクシングと並行して、私生活では困難に直面した。1998年には破産を宣告され、経済的な理由からボクシングキャリアと両立させる形で、歯科機器の塗装工として初めて一般の職業に就いた。この仕事は2000年まで続けた。同年には最初の妻とも離婚するなど、波乱の時期を過ごした。

悲劇的な終幕と遺産

ボクシングを続行していたペイジは、2001年3月9日に行われた空位のケンタッキー州ヘビー級王座決定戦に出場した。しかし、この試合で10ラウンドKO負けを喫し、試合後、意識を失い昏睡状態に陥った。この悲劇的な出来事には、会場の救護体制の不備が大きく影響していた。法律で規定されていた救急車、救護員、酸素ボンベが準備されておらず、会場にいたリングドクターもその場にいなかったため、適切な処置が行われるまでに大幅な遅延が生じた。救急隊の到着までには22分もの空白時間があったとされる。

緊急搬送された地元の病院で頭部の出血が確認され、より高度な医療を受けるため大学病院へ転送され、脳手術が行われた。一命は取り留めたものの、重度の脳梗塞により脳に永続的な損傷を受け、左半身の麻痺という重い後遺症が残った。これにより、以降は車椅子での生活を余儀なくされた。

この事故に関連して、ペイジはケンタッキー州に対し訴訟を起こした。その結果、2007年に120万ドルの和解金を受け取ることで示談が成立した。さらに、この示談条件の一つとして、前年にケンタッキー州で制定されていたボクシング安全規定が「グレグ・ペイジ・セーフティー・イニシアティブ」と名付けられることとなった。彼の犠牲は、ボクシング競技における選手の安全確保の重要性を改めて浮き彫りにし、その後の規定強化に貢献する遺産となった。

死去

長期にわたる闘病生活の後、グレグ・ペイジは2009年4月27日にケンタッキー州ルイズヴィルの自宅で死去した。脳梗塞が原因となり、肺炎、急性呼吸不全、敗血症、低体温症、てんかん発作など、様々な合併症を繰り返し発症していた。

戦績

プロボクシング戦績は76戦58勝（48KO）17敗1分。

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