グレッグ・コーエン

グレッグ・コーエンは、1953年7月13日生まれのアメリカ合衆国のベーシストです。ジャズを中心に活動し、フリー・ジャズやクレズマー音楽の分野でも知られています。特に、ジョン・ゾーンが率いるバンド、マサダでの活動は彼のキャリアにおいて重要な位置を占めています。

ロサンゼルス出身のコーエンは、カリフォルニア州立大学で作曲とベースを学びました。1980年には、トム・ウェイツのアルバム『ハートアタック・アンド・ヴァイン』に参加し、これを機に、1980年代を通じてウェイツのアルバム制作やツアーをサポートするようになりました。また、ウェイツの1987年のアルバム『フランクス・ワイルド・イヤーズ』に収録された楽曲「ストレイト・トゥ・ザ・トップ」では、ソングライターとしても貢献しています。

コーエンは、デイヴィッド・サンボーンのアルバム『アナザー・ハンド』（1990年）にも参加しており、ジャズ界での評価を高めました。さらに、日本のシンガーソングライターSIONともアルバム『I DON'T LIKE MYSELF』（1993年）以降、度々共演するなど、ジャンルを超えた活動を展開しています。

1994年には、ジョン・ゾーンらと共にマサダを結成し、数多くのアルバムをリリースしました。1996年には、ディスクユニオンの社内レーベル「DIW」から、初の自己名義アルバム『ウェイ・ロウ』を発表しました。このアルバムには、デューク・エリントンのカバー曲を含む2曲が収録されています。

1997年には、映画監督ウディ・アレンが率いるジャズバンドのベーシストとして、ドキュメンタリー映画『ワイルド・マン・ブルース』に出演しました。1998年には、エルヴィス・コステロとバート・バカラックのコラボレーションアルバム『ペインテッド・フロム・メモリー』に参加し、幅広い音楽性を発揮しました。2003年には、マサダから派生したユニット、マサダ・ストリング・トリオにも参加し、活動の幅を広げています。

2005年には、ジャズ界の巨匠オーネット・コールマンのツアーに参加し、その模様はライブアルバム『Sound Grammar』（2006年）として発表されました。このアルバムは、2007年度のピューリッツァー賞音楽部門を受賞しており、コーエンの音楽的貢献が高く評価されています。

コーエンは、ソロアーティストとしても活動しており、これまでに『ウェイ・ロウ』（1996年）、『モーメント・トゥ・モーメント』（1997年）、『Golden State』（2014年）といったアルバムをリリースしています。これらの作品を通して、彼の音楽的な探求心と幅広い表現力が伺えます。

グレッグ・コーエンは、ジャズというジャンルにとどまらず、様々な音楽シーンでその才能を発揮し、多くのミュージシャンから信頼されるベーシストとして、現在も精力的に活動を続けています。彼の音楽は、ジャンルの壁を越えて多くの人々に影響を与え続けています。

もう一度検索