グレミャーシチイ (大型ミサイル艦)

ソ連海軍によって運用された艦艇、グレミャーシチイ（ロシア語: Гремящий、グリミャーシイ）は、当初は大型ミサイル艦（ロシア語: Большой ракетный корабль、バリショイ・ラケートヌイ・カラブリ）として設計、建造されました。

艦名である「Гремящий」は、ロシア語で「轟く」「鳴り響く」といった、力強く勢いのある様子を示す形容詞に由来しています。この名称は、過去の大祖国戦争（第二次世界大戦）において顕著な功績を挙げた武勲艦の名を継承するものでした。そのため、本艦はその現役期間中、特別な栄誉として親衛旗の掲揚を許され、ソ連海軍の中でも数少ない「親衛艦」としての地位を保ち続けました。

グレミャーシチイは、ソ連海軍が計画した57-bis型艦隊水雷艇の建造計画において、2番艦として位置づけられました。工場番号は771号艦と定められ、1957年12月17日にはソ連海軍の艦籍に正式に登録されました。建造はレニングラード（現在のサンクトペテルブルク）にあるA・A・ジュダーノフ記念工場（現在のセーヴェルナヤ・ヴェールフィ）で行われ、1958年2月25日に起工されました。その後の建造は順調に進み、1959年4月30日に進水、翌1960年6月30日には無事に竣工を迎えました。竣工後、装備の最終調整や公試を経て、同年12月19日付けでソ連海軍の主要艦隊の一つである北方艦隊に配属されました。

就役当初は大型ミサイル艦として運用されていたグレミャーシチイですが、ソ連海軍の戦略の変化や技術の進歩に対応するため、大規模な改修を受けることになります。1966年から1968年12月29日にかけて、再びレニングラードにて57-A型への改修工事が実施されました。この改修により、艦の能力は大きく変化し、特にその役割が再定義されました。改修完了後、1969年1月20日付けで艦種は大型対潜艦（ロシア語: Большой противолодочный корабль、バリショイ・プラチヴァローダチュヌイ・カラブリ）へと正式に変更されました。これは、対水上打撃力から潜水艦の脅威に対抗する対潜能力へと重点が移されたことを示しています。

大型対潜艦へと姿を変えた後も、グレミャーシチイは精力的に活動を続けました。国際的な舞台においては、友好国への訪問を通じてソ連海軍のプレゼンスを示し、親善交流に貢献しました。1970年5月14日から27日にかけては、キューバを訪れ、ハバナとシエンフエーゴスに寄港しました。翌1971年も海外訪問は続き、同年9月21日から26日にはオランダのロッテルダムに、続いて10月10日から15日にはノルウェーのオスロにそれぞれ寄港しています。また、この1971年には、実際の軍事作戦の一環として中東地域への派遣も経験しており、エジプトへの軍事的な支援活動に従事したことが記録されています。

長きにわたりソ連海軍の一員として任務を遂行してきたグレミャーシチイも、時代の流れとともにその役目を終えることとなります。1987年6月17日、本艦は現役を退きました。退役に伴い、その武装はすべて解除され、艦種も試験船（ロシア語: Опытовое судно、オピートヴァイェ・スードノ）へと変更されました。新たな任務は、様々な試験や評価のプラットフォームとなることでした。さらに、1988年8月25日には艦名も「OS-315」（ОС-315、オーエース・トリーッツァチ・ピトナーッツァチ）と改められ、その末期の活動を示唆しました。最終的な処分のため、資金資産局へ引き渡され、解体および売却の対象となったことで、1991年10月2日付けでソ連海軍の艦籍から正式に抹消されました（除籍）。その後、1994年にはインドの民間企業に売却され、現地で解体処分となりました。このように、大型ミサイル艦として誕生し、対潜艦として活躍、そして試験船へとその姿を変えたグレミャーシチイは、約30年間の波乱に満ちた艦歴に終止符を打ったのです。

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