グレーター・コペンハーゲン・ライトレール

グレーター・コペンハーゲン・ライトレール

グレーター・コペンハーゲン・ライトレール（Hovedstadens Letbane）は、デンマークの首都コペンハーゲンを中心に、周辺自治体を結ぶ新たな公共交通機関です。開通予定は2025年10月で、コペンハーゲン大都市圏の利便性向上が期待されています。

背景と歴史

コペンハーゲン大都市圏では、1947年に作成されたフィンガープランに基づき、住宅の開発や緑地の保全、公共交通網の整備が行われてきました。しかし、年月が経つにつれて自家用車の利用が増加し、道路の渋滞が深刻な問題となりました。そこで、1990年代後半から各自治体（コムーネ）が混雑緩和を目的とした新たな公共交通機関の導入を検討し始めました。

2007年には「フィンガープラン2007」が発表され、市街地の再開発や産業・住宅配置の見直しとともに、複数のコムーネを経由するライトレールの建設計画が打ち出されました。2013年に調査結果が発表されたことをきっかけに、本格的な計画が始動し、2016年にはデンマーク議会での建設が承認されました。

この際、プロジェクト名が「リング3ライトレール」から「グレーター・コペンハーゲン・ライトレール」に変更され、建設準備が進められました。地主との交渉や土地収用を経て、2022年から本格的な建設が開始されました。新型コロナウイルスの影響や国際情勢の影響による工事費の高騰があったものの、2024年8月からは試運転が行われ、2025年10月26日には営業運転が開始される予定です。

財源と出資

このライトレールの建設には、コペンハーゲンを含む11のコムーネからの出資が行われています。コペンハーゲンや他の3つのコムーネは、直通する経路がないにも関わらず経済効果を見込みプロジェクトに参加しています。また、当初は国も出資を行っていましたが、2018年に撤退しました。

建設に関わるコンソーシアムには、シーメンスやアーレスレフ・レール、コーウィが参加しており、シーメンスが車両や設備の保守、アーレスレフ・レールが施設の建設などを担当しています。

路線の詳細

2025年に開通予定のグレーター・コペンハーゲン・ライトレールは、合計29箇所の電停を設置する計画です。この路線は9つのコムーネを経由し、6つの電停で近郊列車網「エストー（S-Tog）」と接続します。路線の大部分は「リング3」と呼ばれる2車線道路に沿って建設され、専用軌道の最高速度は70 km/hに設定されています。営業運転が始まると、運行間隔は最短8分を予定し、夕方や週末は10分の間隔で運行される見込みです。

車両

新たに導入される車両は、シーメンスのアヴェニオというブランドのものです。全長37メートル、全高3.7メートルの4車体連接車で、乗降の際に段差がない低床構造が採用されています。各車体には車椅子やベビーカーが置けるフリースペースが設けられ、合計で4箇所設置されています。2018年には27両の契約分が発注され、追加で2両の発注も行われ、合計29両が導入される予定です。

関連情報

他のデンマークの都市にもライトレールがあります。オーフス・ライトレールは2017年、オーデンセ・ライトレールは2022年にそれぞれ開通しました。これらのプロジェクトは、コペンハーゲンのライトレールと同様に、公共交通の利便性を高めるために重要な役割を果たしています。

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