グレープ (フンボルトペンギン)

グレープ：アニメに恋したペンギン

グレープ（1996年4月16日 - 2017年10月12日）は、羽村市動物公園と東武動物公園で飼育されていたフンボルトペンギンです。彼は、2017年4月に開催されたメディアミックス作品『けものフレンズ』とのコラボレーション企画において、フンボルトペンギンのキャラクター「フルル」のパネルに恋をしたことで一躍有名になりました。

生涯

1996年4月16日に羽村市動物公園で生まれたグレープは、個体識別のために左のフリッパーに紫色のリングが取り付けられました。これが彼の名前の由来です。その後、同園でメスのフンボルトペンギン「ミドリ」とつがいになりました。

2007年、グレープはミドリと共に、新設されたペンギン舎を持つ東武動物公園に移されました。東武動物公園では、通常オスのペンギンには右翼に、メスには左翼に翼帯を取り付けて雌雄を識別していましたが、グレープの翼帯は右翼に移されることはなく、生涯を通じて左翼の紫リングがトレードマークでした。

2009年、ミドリとの間に子をもうけました。その子供は、国内の飼育フンボルトペンギンの血統を管理し、近親交配を避けるため、卵の状態で江戸川区自然動物園に送られました。6月3日に孵化したその子は「はんぺん」と名付けられました。その後、衝撃的なことに、はんぺんは養母である左緑黒と恋愛関係になり、実母のミドリを彷彿とさせるような泥沼の恋愛劇を繰り広げました。その後、はんぺんは義理の妹であるつみれと婚姻関係となり、血縁関係のない養子同士の恋愛結婚で、養父母のきんとき左緑黒夫妻にとっても孫の誕生に繋がることになりました。

2010年ごろ、ミドリは若いオスのフンボルトペンギン「デンカ」とつがいになり、グレープとのペアは解消されました。ペンギンは通常、つがいになると片方が死ぬなどしない限りペアを変えないため、これは異例のことでした。足を怪我したグレープは、治療中に飼育員から優しくされたためか、甘えん坊な性格になり、飼育員が口元に運んでくるのを待つようになったといいます。

2次元に恋したペンギン

2017年4月、『けものフレンズ』とのコラボレーション企画で、園内に設置されたフルルのパネルに、グレープは強い関心を示しました。彼は一日中パネルを見つめ、給餌の時間でさえ離れようとしませんでした。この様子は「ペンギンがアニメキャラクターに恋をした」としてインターネット上で話題となり、グレープは「グレープ君」や「グレ爺」として多くの人々に愛されるようになりました。

グレープがパネルの前から動かない様子は、SNSやワイドショーでも取り上げられ、東武動物公園は「恋するグレープ」という名前の限定スイーツを販売しました。フルルの声優を務めた築田行子も自身のTwitterでグレープを取り上げました。コラボ期間終了後も、来園者の要望に応えてパネルは設置されたままになりました。その結果、同園の来場者数は大幅に増加しました。

グレープがパネルから離れない理由について、動物園側は「老齢のため目が悪く、パネルを人間と勘違いしているのではないか」と推測しました。

2017年10月10日頃から、グレープは体重が減少するようになり、10月11日から展示を中止して静養に入りました。パネルもグレープのそばに移されましたが、容態は急変し、10月12日の午後2時30分に息を引き取りました。

反響

グレープの死後、東武動物公園には献花台が設置され、『けものフレンズ』のキャラクターデザインを担当した吉崎観音からグレープとフルルのツーショットイラストが贈られました。このイラストは、献花台に設置されるとともに、その後のイベントでも展示されました。

東武動物公園の飼育員は、グレープの功績について「これまで『東武のペンギン』として一纏めに扱われていたものを、それぞれ名前を持った『個』として見てもらえるようにした」と語りました。グレープの死は、日本だけでなく世界各国のメディアでも報道されました。

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