グロスター ジャベリン

グロスター ジャベリンについて

グロスター ジャベリン（Gloster Javelin）は、イギリスの航空機メーカーであるグロスター・エアクラフト社によって開発された戦闘機で、多くの特異な特徴を持っています。この機体は、イギリス空軍にとって最初の超音速デルタ翼機であり、全天候型戦闘機として設計された初の機体とも言えます。ジャベリンの名称は「投擲槍（投げ槍）」を意味し、その勇ましさや機動性を象徴しています。総生産機数は436機に達し、すべてイギリス空軍で運用されましたが、輸出は一切行われていません。

開発の背景

1947年、イギリス航空省は新型昼間戦闘機と複座夜間戦闘機に関する要求仕様書を発表しました。これに対し、グロスター社は以前から研究していたデルタ翼機の設計案を提出しました。1948年、この設計は新たな仕様書「計画要求227号」に統合され、P.272として採用されました。当初はデ・ハビランド社のDH.110が選ばれましたが、1952年のファーンボロー国際航空ショーでの墜落事故を受け、P.272の採用に転換しました。これにより、グロスターは新たな試作機の開発を続けることができました。

開発プロセス

1951年11月26日、試作機の初飛行がテストパイロットの操縦によって達成されました。しかしながら、そのユニークな設計とデルタ翼形状は開発を難しいものとし、改良が重ねられました。1952年、試作機の墜落事故が発生したことで開発は一時中断しましたが、その後、機体の改良が進められ、1953年には「グロスター ジャベリン」として正式に名称が決まりました。その後は量産体制に入り、初の量産型が1954年に初飛行しました。

機体の特長

ジャベリンは、アームストロング・シドレー サファイア ターボジェットエンジンを2基搭載し、各部に新技術を多数投入して、高性能な全天候戦闘機としての能力を期待されました。1953年の超音速試験において、初めてソニックブームが観測され、超音速機としての能力が確認されました。しかし、主翼の構造的要因やエンジンの燃料効率に関する問題で、最大速度は1,000km/hには達しませんでした。最終的にはエンジンが強化され、航続距離の確保のために空中給油装置も装備されるなどの改良が施されました。

部隊配備と運用

ジャベリンの量産型は1956年から部隊に配備が開始され、様々な飛行隊で使用されました。特に西ドイツの部隊では365日24時間の警戒体制が維持され、様々な地域への展開も行われました。冷戦時代の緊迫した状況において、ジャベリンはその全天候能力を活かして広範囲にわたる任務に従事しました。しかし、1957年の国防方針の変更により、有人戦闘機からミサイル戦略へとシフトする中で、ジャベリンも次第に運用が縮小されていきました。

派生型と性能

ジャベリンには多くの派生型が存在し、FAW.1からFAW.9まで多様な版本ありました。中でもFAW.7はエンジンの改良と空対空ミサイルの搭載能力を持っており、最も多く生産された型となりました。最終的には1968年まで運用され、ジャベリンは安全性と使い勝手の良さを兼ね備えた名機としてその名を残しました。

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