グロスター スパローホーク

グロスター スパローホーク (Gloster Sparrowhawk)

グロスター スパローホークは、1920年代初頭にイギリスの航空機メーカー、グロスター・エアクラフト社によって開発された単座戦闘機です。本機は、同時期に活躍したニューポール ナイトホーク戦闘機の設計を基に、さらなる発展を目指して生まれました。

その開発背景には、ニューポール社の閉鎖がありました。1920年初頭にニューポール社が業務を停止すると、同社の主任設計者であったヘンリー・フォーランドはグロスター社に移籍します。これに伴い、グロスター社はナイトホーク戦闘機の製造に関する権利も取得しました。

当時、日本海軍は航空技術の向上を目指しており、イギリスからセンピル教育団を招いていました。グロスター社は、この機会に合わせてナイトホークを日本海軍の要求仕様に合わせて改造することを決定しました。元のナイトホークは、搭載していたABC ドラゴンフライ エンジンの信頼性に深刻な問題を抱えていましたが、スパローホークではこの点を改善するため、より信頼性の高いベントレー BR2 ロータリーエンジン（出力230馬力）に換装されました。

スパローホークは、合計90機が製造・運用されました。グロスター社で完成機として50機が生産され、さらに40機分の部品が日本へ送られ、横須賀海軍技術工廠で組み立てられました。

グロスター社で製造された50機は、その用途によって三つの異なるタイプに分けられました。

• - スパローホークI (Sparrowhawk I)：主に陸上基地で使用される単座戦闘機型です。30機が製造され、「マーズII（Mars II）」とも呼ばれました。
• - スパローホークII (Sparrowhawk II)：操縦訓練を目的とした複座練習機型です。10機が製造され、「マーズIII（Mars III）」の別名を持ちます。
• - スパローホークIII (Sparrowhawk III)：航空母艦での運用を想定した単座艦上戦闘機型です。10機が製造され、「マーズIV（Mars IV）」とも呼ばれました。

日本で組み立てられた40機は全てスパローホークI型でした。

また、特筆すべき点として、スパローホークII型の一機が民間に払い下げられ、改修を受けて民間機として登録されました。この機体は1922年にロンドンで開催された航空レース「エアリアル・ダービー（Aerial Derby）」に出場しています。この民間機は、後にグロスター社が開発する別の機体、グロスター グルースの原型ともなりました。

日本海軍におけるスパローホークの運用は1921年に始まりました。当初、航空母艦「鳳翔」がまだ完成していなかったため、艦上戦闘機型のスパローホークIIIは、練習目的で戦艦「山城」の主砲塔上に仮設された離陸用プラットフォームから発艦する訓練に用いられました。しかし、「鳳翔」が竣工した頃には、日本で開発された一〇式艦上戦闘機が既に配備されていたため、スパローホークが実際に空母上で運用される機会はありませんでした。代わりに、スパローホーク各型は陸上基地で練習機として引き続き使用され、その任務は1928年まで続きました。

主要諸元 (スパローホークI)

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