グローバルバンド

グローバルバンドとは、携帯電話のLTE（Long Term Evolution）や5G（第5世代移動通信システム）の無線周波数帯において、世界各国で共通して使用されている周波数帯のことです。これにより、国際ローミング時の相互接続性が確保され、世界中で同じ端末を使用できる利便性が向上します。

FDD（Frequency Division Duplex）システムにおけるグローバルバンド

FDDシステムは、上り回線と下り回線で異なる周波数帯を使用する方式です。GSMA（GSM Association）の調査によれば、以下の周波数帯がグローバルバンドとして広く利用されています。

Band3 (1.7GHz帯 FDD): 世界で最も広く使用されている周波数帯の一つです。多くの国と地域でLTEサービスに利用されています。
Band7 (2.6GHz帯 FDD): 比較的高い周波数帯であり、都市部などで高速なデータ通信を提供するのに適しています。
Band1 (2.1GHz帯 FDD): 広範囲なエリアカバーが可能であり、多くの国で主要な周波数帯として利用されています。
Band5 (850MHz帯 FDD): 低い周波数帯であり、広いエリアカバーを実現できます。建物内など、電波が届きにくい場所でも比較的繋がりやすいのが特徴です。
Band8 (900MHz帯 FDD): 音声通話やデータ通信で広く利用されています。比較的低い周波数帯であるため、エリアカバーに優れます。
Band28 (700MHz帯 FDD): デジタルテレビ放送の跡地を利用して導入された周波数帯で、広いエリアカバーと建物内への電波到達性に優れています。

TDD（Time Division Duplex）システムにおけるグローバルバンド

TDDシステムは、上り回線と下り回線で同じ周波数帯を時間的に分割して使用する方式です。グローバルバンドとして、以下の周波数帯が知られています。

Band41 (2.6GHz帯 TDD): 主に中国で広く利用されている周波数帯ですが、他の地域でも利用が拡大しています。

5G NR（New Radio）におけるグローバルバンド

5G NRは、次世代の移動通信技術であり、以下の周波数帯がグローバルバンドとして重要です。

n78 (3.5GHz帯): 世界中で広く利用されている周波数帯です。高速大容量通信を提供するのに適しており、5Gの主要な周波数帯の一つとなっています。

日本の携帯電話事業者の状況

日本の携帯電話事業者も、これらのグローバルバンドを積極的に活用しています。NTTドコモ、KDDI（au）、ソフトバンク、楽天モバイルの各社は、それぞれのネットワーク構築において、グローバルバンドを含む様々な周波数帯を組み合わせて利用しています。これにより、日本国内での通信環境の向上だけでなく、海外ローミング時における互換性も確保しています。例えば、Band1、Band3、Band19、Band21などの周波数帯が主に利用され、5Gではn78などの周波数帯も導入が進められています。また、各社は利用状況に応じて異なる周波数帯を組み合わせることで、最適な通信環境を提供しようとしています。また、これらの周波数帯に加えて、事業者独自の周波数帯も利用しています。

これらのグローバルバンドの利用は、携帯電話端末の製造コストの削減や、国際的なローミングサービスの円滑化に大きく貢献しています。世界的に共通の周波数帯を利用することにより、端末メーカーは様々な国で使用可能な製品を開発しやすくなり、消費者は海外でも自身の端末をそのまま利用することが可能になります。

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