グローバル作物多様性トラスト

グローバル作物多様性トラスト（GCDT）の概要

グローバル作物多様性トラスト（GCDT）は、世界規模での食糧安全保障の強化を目指し、作物多様性の保全と持続可能な利用を促進する独立した国際機関です。2004年、国連食糧農業機関（FAO）と国際農業研究協議グループ（CGIAR）の協力の下に設立されました。

GCDTは、食料及び農業のための植物遺伝資源国際条約と連携し、主要な作物の遺伝資源の収集、保存、利用のための資金調達を担っています。科学的な専門性を活かし、既存の機関と協力して、重要な作物多様性の保存に永続的に貢献しています。

作物多様性は農業の基盤であり、病害虫への抵抗性のある品種改良には不可欠です。気候変動や資源制約への対応においても、作物多様性は重要な役割を果たします。GCDTは、これらの課題解決に貢献するため、多様な活動を行っています。

GCDTの運営と財政

GCDTの事務局はドイツのボンに置かれ、世界各国から選ばれた専門家によって運営されています。設立以来、1億7000万ドルを超える作物トラスト基金が造成され、その資金は世界各地の遺伝資源保全プロジェクトに活用されています。

基金の主な拠出源は、米国、ノルウェー、英国、オーストラリアなどの政府開発援助です。開発途上国からの拠出や、ゲイツ財団などの民間基金からの寄付金も重要な役割を担っています。

事務局長には、ノルウェー元首相や大臣などを歴任したマリー・ハーガ氏が就任し、国際的な経験と高い専門性を活かして組織を率いています。

GCDTによる援助と活動

GCDTは設立以来、80カ国以上で援助事業を展開し、イネ、キャッサバ、小麦など主要穀物の遺伝資源コレクションの永続的な支援を確立してきました。

危機に瀕している遺伝資源コレクションの救済、情報システムの整備、スヴァールバル世界種子貯蔵庫へのバックアップ資源の保管なども重要な活動です。

また、22種類の主要穀物の野生種の発掘、収集、保存を行う10年計画も推進し、将来の農業における課題解決に貢献しています。これらの活動は、世界各地の研究機関や開発途上国の機関と緊密に連携して行われています。

スヴァールバル世界種子貯蔵庫

GCDTは、ノルウェー政府、北欧ジーンバンクと協力して、スヴァールバル世界種子貯蔵庫の設立に貢献しました。この貯蔵庫は、戦争や自然災害など、あらゆる危機的状況から遺伝資源を保護するための安全なバックアップ施設です。400万種以上の農業作物の種子を貯蔵できる容量を備えています。

GCDTは、食糧安全保障の向上に貢献する様々な取り組みを通じて、世界の農業と人々の生活に貢献し続けています。将来にわたって食料生産を支えるための重要な役割を担っています。

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