国際農業研究協議グループ

国際農業研究協議グループ（CGIAR）: 持続可能な食糧安全保障への貢献

国際農業研究協議グループ（CGIAR：Consultative Group on International Agricultural Research）は、開発途上国の農業、林業、水産業の生産性向上、技術革新、貧困削減、そして環境保全を目的として1971年に設立された国際的な組織です。フランスのモンペリエに事務局を置いています。

CGIARは、世界銀行、国連食糧農業機関（FAO）、国連開発計画（UNDP）といった国際機関、各国政府、地域連合組織、民間団体などから構成される、多様な関係者からなる広範なネットワークです。2005年時点では63の機関または国が参加メンバーとして名を連ねていました。その傘下には、それぞれが独立した研究所として機能する15の国際農業研究機関が存在します。

CGIARのルーツは、ロックフェラー財団が主導した、国際稲研究所（IRRI）、国際半乾燥熱帯作物研究所（ICRISAT）、国際熱帯農業センター（CIAT）、国際トウモロコシ・コムギ改良センター（CIMMYT）、国際熱帯農業研究所（IITA）といった研究機関や研究計画にまで遡ります。1940～50年代に開始されたこれらの先駆的な研究は、60～70年代における国際的な穀物生産性の大幅な向上、「緑の革命」と呼ばれる成果をもたらし、大規模な飢餓の発生を回避することに大きく貢献しました。この成功を背景に、更なる国際農業研究機関が設立され、それらを統合・連携させる機関としてCGIARが誕生しました。

CGIARの現在の使命は、農林水産業、関連政策、環境分野における研究と活動を通じて、開発途上国の持続可能な食糧安全保障を実現することです。そのために、以下の5つの重点分野に力を注いでいます。

1. 持続可能な生産: 環境に配慮した農業生産技術の開発と普及
2. 途上国の農業研究体系の強化: 研究能力の向上と人材育成
3. 品種改良: 高収量、病害虫抵抗性、気候変動耐性などの優れた特性を持つ作物品種の開発
4. 遺伝資源の保全・収集: 食糧生産に重要な遺伝資源の収集、保存、利用
5. 技術の普及および各国の政策改善への働きかけ: 開発途上国における技術移転と政策提言

CGIARは、これら重点分野における研究活動を通して、開発途上国の食糧安全保障の強化に貢献し続けています。その活動は、単なる技術開発にとどまらず、研究機関のネットワーク構築、人材育成、政策提言など多岐に渡り、国際社会における食糧問題解決に重要な役割を果たしています。今後もCGIARの活動は、世界的な食糧問題、貧困問題、そして環境問題の解決に不可欠な存在であり続けるでしょう。

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