グンティス・ウルマニス

グンティス・ウルマニス：ラトビアの独立回復を導いた大統領

グンティス・ウルマニス（1939年9月13日 - ）は、ラトビアの政治家であり、1993年から1999年まで、独立回復後のラトビア共和国大統領を務めました。彼は、戦前最後のラトビア大統領であるカールリス・ウルマニスの親族にあたる人物です。

生い立ちと苦難の時代

1939年、リガで生まれたウルマニスは、幼少期に過酷な経験をしました。父親がソ連のスパイ容疑で逮捕され、自身も母親と共にシベリアへ強制移送されるという苦難を味わいます。帰国後も、親戚の強制移送や姓の変更など、困難な状況の中で成長しました。

ソ連時代

ラトビア国立大学経済学部を卒業後、ソ連軍に従軍し、ソビエト連邦共産党に入党しました。退役後は、経済学者として勤務する傍ら、大学講師として教鞭を執りました。しかし、カールリス・ウルマニスとの親族関係が理由で役職を失うなど、不遇な時代を過ごしました。

独立回復と大統領就任

1980年代後半の「歌う革命」を機に共産党を離党。1992年にはラトビア銀行理事に就任し、独立回復後のラトビア経済の立て直しに尽力しました。1993年、第5回サエイマ議員に選出され、ラトビア大統領に選出されました。

大統領としての功績

ウルマニス大統領は、ラトビアの国際社会への復帰と発展に大きく貢献しました。欧州評議会への加盟、EUとNATOへの加盟を実現し、国際社会におけるラトビアの地位を確立しました。また、ロシア軍の撤退に関する協定締結や、市民権法の採択など、国家の安定と国民統合に向けた政策を推進しました。死刑執行の一時停止を宣言し、ラトビアの法律における死刑廃止を訴えました。

大統領退任後の活動

2000年には「プレジデント・ウルマニス財団」を設立し、社会貢献活動を積極的に行いました。また、アイスホッケー世界選手権の実行委員長を務めるなど、スポーツ振興にも尽力しました。2010年には、「良きラトビアのために」協会の理事長に就任し、第10回サエイマ議員に選出され、再び政界で活躍しました。

人柄と家族

ウルマニスは、アイナ・ウルマニスと結婚し、娘と息子がいます。困難な時代を乗り越え、ラトビアの独立と発展に貢献したウルマニスの功績は、ラトビア国民に深く記憶されています。

歴史研究への貢献

ウルマニスは、ラトビアの歴史研究にも尽力しました。首相と共にラトビア歴史委員会を設立し、ラトビアにおける全体主義体制とその結果について詳細な研究を推進しました。国際社会に対し、旧ソ連の全体主義体制を非難するよう訴え続けました。

グンティス・ウルマニスは、激動の時代を生き抜き、ラトビアの独立と民主主義の確立に貢献した偉大な政治家として、その名が歴史に刻まれています。

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