ケイシー・ロジャース

ケイシー・ロジャース：女優、モータースポーツのパイオニア、そして作家

ケイシー・ロジャース（Kasey Rogers, 1926年12月15日 - 2006年7月6日）は、アメリカ合衆国出身の女優です。彼女のキャリアは映画、テレビドラマ、そしてモータースポーツへと多岐にわたりました。

生い立ちと初期のキャリア

ケイシーはミズーリ州モアハウス市で生まれましたが、2歳の時に家族でカリフォルニア州へ移住しました。本名はイモジーン・ロジャース。幼少期は野球が得意で、有名な詩「Casey at the Bat」にちなんで、友人から「ケイシー」という愛称で呼ばれるようになりました。この愛称を芸名として使用する際、頭文字をCからKに変え、「ケイシー・ロジャース」としました。

当初はローラ・エリオット（Laura ElliottまたはLaura Elliot）という芸名で、パラマウント映画で俳優としてのキャリアをスタートさせました。1949年の『諜報部員ディック・バートン』を皮切りに、『サムソンとデリラ 愛と裏切りの伝説』(1949年)、『Paid In Full』(1950年)、『失われた世界』(1951年)などに出演。アルフレッド・ヒッチコック監督の『見知らぬ乗客』(1951年)にも出演し、順調にキャリアを重ねました。

テレビ界での活躍

1950年代半ばからは、テレビドラマシリーズに数多くゲスト出演するようになりました。1964年には『Peyton Place』で主要な役を獲得。さらに1966年、アイリーン・バーノンから引き継ぐ形で、人気ドラマ『奥さまは魔女』のルイーズ・テイト役を演じ、広く知られるようになりました。

1972年に『奥さまは魔女』が終了した後も、いくつかのテレビドラマやバラエティー番組にゲスト出演しましたが、その後は家庭に専念するために俳優業を引退しました。2度の結婚で授かった4人の子供たちを育て上げた後、執筆活動やテレビシリーズ『Son of a Witch』の脚本を手がけるなど、その才能を生かしました。

モータースポーツへの情熱

1970年代に入ると、ケイシーはオートバイに興味を持つようになりました。息子が購入したオートバイで草レースに優勝したことがきっかけとなり、自身もバイクに乗り始めました。最初に所有したホンダ製500ccロードスポーツには苦労しましたが、すぐに125ccダートトラック用に乗り換え、モトクロスレースの世界に足を踏み入れました。

1974年には、女性ライダーを支援する組織PURR（PowderPuffs Unlimited Riders and Racers）を設立し、1975年にはロサンゼルス・メモリアル・コロシアムで女性選手による大会を開催し、大きな成功を収めました。「PowderPuff」とは、彼女が『Modern Cycle Magazine』誌で連載していたエッセイのタイトルであり、現在では女性レースのクラス名としても知られています。

1977年までレースにも出場し、ケイシーは女性ライダーとして、またオーガナイザーとして、モータースポーツ界のパイオニアの一人として名を残しました。

その後

晩年は喉頭癌に苦しみ、数年間の闘病生活を送りましたが、2006年7月6日に心停止のため逝去しました。しかし、彼女の功績は、映画やテレビドラマ、そしてモータースポーツの世界で、今もなお輝き続けています。

主な出演作品

1949年：『諜報部員ディック・バートン』
1949年：『サムソンとデリラ 愛と裏切りの伝説』
1951年：『見知らぬ乗客』
1966年～1972年：『奥さまは魔女』

著書

* 『「奥さまは魔女」クッキング・ブック』(マーク・ウッドとの共著)

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