ケサヤバナ

ケサヤバナ（Coleus formosanus）

ケサヤバナはシソ科の多年生草本で、学名はColeus formosanusです。環境省および沖縄県では、絶滅危惧IA類（CR）に指定されており、その生息地が非常に限られています。

特徴

ケサヤバナは通常、高さが30～50cmほどに成長し、茎は四角い形状をしています。茎の直径は5～8mm程度で、基部は地面に這った状態で根を下ろします。葉は肉厚で対生しており、形は卵形からひし形にかけて変化します。葉の大きさは約4～6cmで、縁は鈍鋸歯で囲まれ、表面と裏面には白い短い毛が密集しています。また、葉の裏側には褐色の細かい斑点が見られます。

花は夏から秋にかけて開花し、葉の上に頂生する穂状の花序に、淡い紅紫色の小さな花を密に咲かせます。花冠は筒状の下部と、2つに分かれる上部から構成されており、下唇は3つに裂けています。台湾産や与那国島産のケサヤバナは、染色体数が2n=50であることが研究によって確認されています。

分布と生育環境

ケサヤバナは日本国内では沖縄県の与那国島でのみ自生しており、ここが分布の北限となっています。与那国島には3箇所の自生地が確認されていますが、各地点での個体数は非常に少ない状況です。ケサヤバナは、日当たりの良い海岸の断崖や岩場を好み、そこで生育しています。国外では、台湾の蘭嶼や緑島、フィリピンのバタン諸島やバブヤン島、マレーシアにも分布が確認されています。

種の分類

ケサヤバナは、YListでキランジソ（Coleus scutellarioides）とは別種として分類されていますが、POWOではC. formosanusをC. scutellarioidesのシノニムとして扱っています。本記事ではYListに従い、C. formosanusの名称を使用しています。

属の分類の変遷

ケサヤバナは1906年に、台湾の標本を基にしてColeus formosanusとして記載されました。Coleus属は、4本の雄蕊の基部が融合する特徴を持ち、Plectranthus属とは区別されてきましたが、この特徴は必ずしも明確ではなく、属の分類に一貫性がないことが指摘されています。そのため、Plectranthus属に分類する動きもあります。さらに、Plectranthinae亜連の分子系統研究により、Coleus属やSolenostemon属、Plectranthus属の関係がより明確にされ、Coleus属の種が他の属と統合された結果、ケサヤバナは多様な学名で記載されることになりました。

参考文献

• - Matsumura, J. et al. (1906),

もう一度検索