ケスコ

概要



ケスコ(Kesko Oyj)は、フィンランドの首都ヘルシンキに本社を構える大規模な小売持株会社です。主にフィンランド国内でスーパーマーケット事業を展開するほか、北欧諸国を中心にホームセンター事業、そして自動車の輸入販売事業を手掛けています。フィンランドを代表する企業のひとつであり、その株式はナスダック・ヘルシンキ市場に上場しています(ティッカーシンボル:KESKOA、KESKOB)。

沿革



ケスコの歴史は、1940年10月にフィンランド国内の四つの地域卸売会社(Savo-Karjalan Tukkuliike、Keski-Suomen Tukkukauppa Oy、Kauppiaitten Oy、Maakauppiaitten Oy)が統合されたことに始まります。翌1941年初頭には、株式を保有する小売業者に対する事業運営支援や商品供給プラットフォームとしての活動を本格化させました。この統合を象徴するものとして、共同での広告活動が開始され、「K」のエンブレムが新たなグループのシンボルとして導入されました。社名である「Kesko」は、フィンランド語で「集中」を意味する言葉に由来するとされ、地域に分散していた卸売業者が全国規模の基盤のもとに集約された経緯を表しています。

第二次世界大戦終結後の1950年代初頭には、物資の配給制度や輸入規制の影響を受け、企業の成長は一時停滞しました。しかし、1950年代後半にこれらの規制が解除されると、ケスコは従来の多様な雑貨を取り扱う店舗形態に加え、専門店の拡充に乗り出しました。1960年代に入ると、店舗での取り扱い品目に生鮮食品が加わり、事業の重心は食料品へと徐々に移っていきました。特に、1971年ラハティ市にケスコとして初のスーパーマーケットが開業したことは、スーパーマーケット事業の拡大と定着を決定づける契機となりました。店舗の大規模化が進むにつれて、物流システムの効率化にも積極的に取り組みました。

1980年代には事業の再編が行われ、衣料品や自転車関連の事業から撤退し、中核となるスーパーマーケット事業への集中を図りました。一方、1990年代半ばからは新たな事業領域として、スウェーデンバルト三国において、建材や金物などを扱うホームセンター事業への参入を開始しました。その後もこの分野での拡大を進め、2005年にはノルウェーホームセンターチェーンであるByggmakkerを買収し傘下に収めました。さらに、近年では2023年にデンマークホームセンター事業者であるDavidsenの株式を取得するなど、北欧地域でのホームセンター事業基盤を強化しています。

事業内容



ケスコは主に三つの事業セグメントを展開しています。

スーパーマーケット事業



主にフィンランド国内において、様々な規模のスーパーマーケットを運営しています。「K-Citymarket」、「K-Supermarket」、「K-Market」といったブランドを展開しており、地域社会の食料品供給を担っています。また、食品サービス事業者向けの卸売事業として「Kespro」も手掛けています。

主要ブランド(フィンランド):
K-Citymarket
K-Supermarket
K-Market
Kespro

ホームセンター事業



フィンランドスウェーデンノルウェーデンマークラトビアリトアニアベラルーシといった国々でホームセンターを展開しています。DIY用品、建材、園芸用品などを取り扱っており、個人顧客からプロの建築業者まで幅広く利用されています。「K-Rauta」はフィンランドスウェーデンで展開される主力ブランドの一つです。買収によって加わったノルウェーの「Byggmakker」やデンマークの「Davidsen」なども重要なブランドです。

主要ブランド:
Omninen(フィンランド
K-Rauta(フィンランドスウェーデン
Byggmakker(ノルウェー
K-Bygg(スウェーデン
Davidsen(デンマーク
K-Senukai(ラトビアリトアニア
OMA(ベラルーシ

自動車輸入販売事業



「K-Auto」ブランドのもと、主にフィンランドエストニアラトビアリトアニア自動車の輸入販売およびアフターサービスを行っています。フォルクスワーゲンポルシェ、アウディなど、様々なメーカーの新車および中古車を取り扱っています。

主要ブランド:
K-Auto(フィンランドエストニアラトビアリトアニア

事業規模



ケスコの事業規模は、部門別の売上構成比において、スーパーマーケット事業が全体の約50%を占め、次いでホームセンター事業が約35%、自動車輸入販売事業が約15%となっています。地域別に見ると、売上の約8割がフィンランド国内市場からもたらされており、その基盤の強さを示しています。

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