ケッセルスドルフの戦い

ケッセルスドルフの戦い：プロイセン勝利への道

ケッセルスドルフの戦いは、1745年12月15日、オーストリア継承戦争のさなかに行われました。プロイセン軍が、オーストリアとザクセンの連合軍を打ち破ったこの戦いは、その後のヨーロッパの勢力図を大きく塗り替えることになります。

戦いの背景

1745年の冬、ザクセンはオーストリアと手を結び、プロイセンへの攻撃を企てました。オーストリア軍の支援を得て、フリードリヒ・アウグスト・ルトフスキ率いる軍勢をプロイセン領内へ侵攻させようとしたのです。しかし、同年11月末にヘンネルスドルフの戦いでザクセン側の軍が敗北したとの知らせが届き、プロイセン攻撃どころではなくなってしまいます。

一方、アンハルト＝デッサウ侯レオポルト1世率いるプロイセン軍は、マクデブルクから南下を開始。退却する連合軍を追いながら進軍し、ライプツィヒを占領しました。プロイセン軍は、西進してくるフリードリヒ大王の軍と合流するため、エルベ川の渡河地点を確保する必要がありました。デッサウ侯は息子にライプツィヒを任せ、自身はトルガウを占領。しかし、トルガウはプロイセン軍の目標であるザクセンの首都ドレスデンから遠すぎたため、より近いマイセンを占領することを目指します。12月12日、デッサウ侯は守備隊を破り、マイセンを占領しました。

フリードリヒ大王は、デッサウ侯に即座にドレスデンへ進撃し、決戦を行うよう求めましたが、慎重なデッサウ侯は補給を確保し、着実な進軍を望んでいました。しかし、ラウジッツからベーメンに退いたオーストリア軍がエルベ川を下り、ドレスデンへ向かっているという情報が入ります。オーストリア軍と合流する前に、ルトフスキー軍を撃破する必要に迫られたデッサウ侯は、大王からの度重なる催促を受け、ドレスデンを目指して進軍を開始。その途上で、ドレスデンへの道を阻む連合軍を発見したのです。

戦闘の経過

連合軍は、エルベ川に流れ込む小さな谷川の南側に陣を構え、西から中央をザクセン軍が、東のエルベ川との合流地点をオーストリア軍が守備しました。連合軍は、北に向かって崖となっている丘の上に砲を配置し、地形的な有利を確保していました。デッサウ侯は、敵の右翼に位置するオーストリア軍をほぼ無視し、ザクセン軍の撃滅に集中する作戦を立てます。実際、オーストリア軍の大半は戦闘にほとんど参加しませんでした。

古いタイプの将軍であったデッサウ侯は、戦闘前に必ず祈りを捧げました。この時も、彼は次のように祈ったと伝えられています。「主よ、私の戦歴に汚点を残すことのないよう、今日こそ私に慈悲をお与えください。もし私への慈悲をお望みでないときは、敵を助けることなく、ただ戦いの成り行きを見守っていてください」。

午後2時、中央のプロイセン軍は小川と凍りついた湿地を越え、ザクセン軍の陣地へ攻撃を開始しました。高所からの砲撃と銃撃に加え、地形によって攻撃を阻まれたプロイセン軍は、大きな損害を受けました。二度目の攻撃も失敗し、プロイセン軍は後退を余儀なくされ、ザクセン軍の一部は勝利を確信して陣地から出て追撃を試みました。

しかしその頃、ザクセン軍の左翼では、プロイセン軍の騎兵部隊がザクセン騎兵部隊を打ち破り、プロイセン軍右翼の歩兵がケッセルスドルフ村を占領してザクセン軍左翼を攻撃、さらに中央を背後から包囲しようとしていました。ザクセン軍は混乱し、デッサウ侯は好機を逃さず全軍に突撃を命じます。陣地から出ていたザクセン軍は、地形のために撤退することができず、壊滅的な打撃を受けました。デッサウ侯は兵士たちに、雪と氷で覆われた崖を登り、ザクセン軍陣地を攻撃するよう命じ、自らも崖を駆け登り砲兵陣地へ突入しました。この時、デッサウ侯は銃弾に服を撃ち抜かれましたが、怪我はありませんでした。

ザクセン軍は総崩れとなり、敗走しました。ドレスデンには混乱した兵士たちが逃げ込み、ザクセンの人々に敗北を印象付けました。

戦いの結果と影響

この戦いで、ザクセン軍は兵士の半数を失い、戦闘能力を喪失しました。12月17日、プロイセン軍はドレスデンに入城し、翌18日にはフリードリヒ大王も入城しました。ザクセンは戦争継続を断念し、単独で和平を結ぶ姿勢を示し、オーストリアもついにシュレージエン割譲を承認するドレスデン条約が締結されました。これにより、第二次シュレージエン戦争は終結し、プロイセンはヨーロッパの主要国の中でいち早く平和を得ることになりました。しかし、オーストリアにはまだイタリアとネーデルラント戦線が残されていました。

ケッセルスドルフの戦いは、プロイセンの軍事力をヨーロッパに示すとともに、その後の外交交渉を有利に進める上で重要な役割を果たしました。

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