ヘンネルスドルフの戦い

ヘンネルスドルフの戦い (1745年)

ヘンネルスドルフの戦い、またはカトリック＝ヘンネルスドルフの戦いは、オーストリア継承戦争中の1745年 11月23日に起こりました。この戦いは、プロイセン軍がザクセン軍を奇襲し、勝利を収めた戦いとして知られています。

背景

1745年、マリア・テレジアはプロイセンの本拠地であるブランデンブルクを攻撃するため、カール公子のオーストリア軍主力部隊をベーメン北部からザクセンのラウジッツへ進軍させようとしました。フリードリヒ大王はこれに気づき、密かに対応策を講じました。老デッサウをマクデブルクに派遣して西部の作戦を任せ、息子の若デッサウにシュレージエンに駐屯する軍を集結させました。

11月15日、フリードリヒ大王は下シュレージエンのリーグニッツに到着し、若デッサウから約3万のプロイセン軍を受け取りました。しかし、すぐに連合軍を攻撃するのではなく、カール公子軍がラウジッツへの進出を終え、十分に自国に接近するまで待機しました。大王は、敵軍が接近したところで一気に強襲をかける作戦を立て、ホーエンフリートベルクの戦いと同様に、敵を欺くための周到な準備を行いました。

11月20日、プロイセン軍はリーグニッツから西進してザクセン国境に接近し、攻撃準備を整えました。しかし、本隊はボーベア川の線に留まり、敵に警戒されないようにしました。ヴィンターフェルトに3千の兵を与え、ボーベア川の支流であるクヴァイス川の線に展開させ、敵騎兵斥候の侵入を阻止するとともに、敵軍の行動を偵察させました。

一方、カール公子の作戦は、ラウジッツから北上してオーデル川に出てフランクフルトを占領し、シュレージエンのプロイセン軍とブランデンブルク本領の連絡を断ち、その後ベルリンを攻撃するというものでした。カール公子軍はベーメン北辺のライヒェンベルクやフリートラントから続々とラウジッツに入り、ナイセ川を補給路にしてゲルリッツに物資集積基地を置き、ナイセ川を下ってフランクフルトに出ることを目指しました。ラウジッツに展開するザクセン軍部隊はカール公子軍に合流し、ラウバン周辺に位置しました。

戦闘の経過

11月22日、フリードリヒ大王はヴィンターフェルトからの報告で、敵軍がゲルリッツからラウバンにかけて展開していることを知りました。大王は老デッサウにザクセンへの前進を命じるとともに、自軍も行動を開始しました。11月23日、ナウムブルクでクヴァイス川を渡り、4縦隊による強行軍で連合軍に接近しました。ザクセン軍のウーランによる抵抗は軽微で、プロイセン軍は進軍を続けました。

ツィーテンの指揮するプロイセン第2軽騎兵連隊は、ヘンネルスドルフ村に接近したところで、ザクセン軍の騎兵3個連隊と歩兵1個連隊が宿営しているのを発見しました。ツィーテンは援軍が到着するまで敵を拘束すると大王に報告しました。大王はロッホウに2個胸甲騎兵連隊を預けてツィーテンのもとに急行させ、さらにポレンツの指揮する3個擲弾兵大隊を後から追わせ、本隊には強行軍を命じました。

ツィーテンはザクセン軍陣地への奇襲に成功し、ザクセン兵は慌てて村から逃げ出しましたが、村の外で戦闘隊形を整えました。そこにルエシュ率いる第5軽騎兵連隊が突撃をかけましたが、ザクセン軍騎兵の反撃を受けました。しかし、ロッホウの胸甲騎兵が現れ、フザールとともに多方向から突撃をかけると、ザクセン軍騎兵は打ち破られました。ザクセン軍騎兵は敗走し、取り残されたザクセン軍歩兵1000余名はプロイセン軍騎兵に包囲されました。

ザクセン軍歩兵は方陣を組んで抵抗しましたが、ポレンツの擲弾兵が到着し、攻撃を開始すると、ザクセン軍の抵抗は圧倒されました。プロイセン軍騎兵が突撃を敢行し、ザクセン軍は降伏しました。

フリードリヒ大王の本隊は戦闘終了後に到着し、ヘンネルスドルフ村に宿営しました。ツィーテンとルエシュは大王から鹵獲されたザクセン軍の軍太鼓を分け与えられました。ツィーテンは戦闘中に味方の誤射で負傷し、以後の戦闘から離脱しました。

戦いの後

翌日、プロイセン軍はカール公子軍の捕捉を試みましたが、カール公子軍はヘンネルスドルフの戦いを知り、進軍を停止し後退しました。プロイセン軍は25日にゲルリッツに到達し、守備隊は降伏し、物資はプロイセン軍の手に落ちました。26日、大王はカール公子軍を追って南東に進軍しましたが、カール公子は戦闘を避け、ベーメンへ退却しました。27日、ヴィンターフェルトの部隊がベーメン国境のツィッタウでオーストリア軍を攻撃し、ツィッタウの戦いが生じました。

フリードリヒ大王はツィッタウの占領をもって追撃を中止し、守備隊を配置して主力部隊はゲルリッツに集結しました。プロイセンへの脅威は消滅し、カール公子は物資を放棄し、多くの兵を失いました。23日から27日までの撤退で、オーストリア軍の損害は5千に達したとされています。フリードリヒ大王は疲労した部隊をゲルリッツで休ませた後、ザクセンを屈服させるために再び西進しました。

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