ケニー・ドリュー

ケニー・ドリュー： ヨーロッパで愛された旋律のピアニスト

ケニー・ドリュー（Kenny Drew、1928年8月28日 - 1993年8月4日）は、アメリカ合衆国ニューヨーク出身のジャズ・ピアニストです。ハード・バップのスタイルを基盤としながらも、その演奏はメロディアスで優美なタッチが特徴であり、ヨーロッパ、特にデンマークを中心に、日本でも幅広い人気を集めました。

生涯と音楽活動

1949年にハワード・マギーとの初録音を皮切りに、1950年代にはチャーリー・パーカーやミルト・ジャクソンといったジャズ界の巨人たちと共演し、その才能を早くから開花させました。1953年には、バンド・リーダーとしてブルーノート・レーベルから『イントロデューシング・ケニー・ドリュー・トリオ』を発表しましたが、アメリカ国内では当初、その音楽性が十分に評価されるには至りませんでした。

1954年にアメリカ西海岸へ移住した後、1961年にはパリへ、そして1964年からはデンマークのコペンハーゲンに活動拠点を移しました。コペンハーゲンでは、デンマーク人ベーシストのニールス＝ヘニング・エルステッド・ペデルセンと出会い、生涯にわたる演奏パートナーとして数多くの共演を重ねました。また、同じくコペンハーゲンに拠点を置いていたデクスター・ゴードンとも親交を深め、音楽的な交流を行いました。

日本においては、キーストンミュージックの木全信がプロデューサーを務め、彼の音楽を紹介しました。最後のアルバムとなった『ザ・ラスト・レコーディング：ライヴ・アット・ザ・ブルーノート・大阪』は、日本でのライブ演奏を収録した貴重な記録となっています。

1993年、ケニー・ドリューはコペンハーゲンで生涯を閉じ、同地に埋葬されました。彼の音楽は、今日でも多くのジャズファンに愛され続けています。

主要なディスコグラフィー

以下は、ケニー・ドリューの代表的なアルバムの一部です。

『イントロデューシング・ケニー・ドリュー・トリオ』 - New Faces, New Sounds (1953年、Blue Note)
『ケニー・ドリュー・トリオ』 - Kenny Drew Trio (1956年、Riverside)
『アンダーカレント』 - Undercurrent (1960年、Blue Note)
『ダーク・ビューティー』 - Dark Beauty (1974年、Steeple Chase)
『モーニング』 - Morning (1975年、Inner City)
『パリ北駅着、印象』 - Impressions (1988年、Alfa Jazz)
『欧州紀行』 - Recollections (1989年、Alfa Jazz)

これらのアルバムを通して、ケニー・ドリューの繊細かつ力強いピアノ演奏、そして彼が追求した美しい旋律の世界を堪能することができます。

参考文献

岩浪洋三『モダンジャズの名演・名盤』立風書房、1995年、234-240頁。ISBN 4651820239。

外部リンク

allmusic
ケニー・ドリュー - Find a Grave
* ケニー・ドリュー - Discogs

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