ケネス・カーペンター (陸上選手)

ケネス・カーペンター：ベルリン五輪金メダリストの生涯

ケネス・カーペンター（William Kenneth "Ken" Carpenter、1913年4月19日 - 1984年3月15日）は、アメリカ合衆国の円盤投選手であり、教育者としても名を残しました。彼の輝かしいキャリアは、1936年のベルリンオリンピックでの金メダル獲得によって頂点を迎えました。

競技者としての軌跡

カーペンターは、故郷のコンプトン・ハイスクールで陸上競技選手としての才能を開花させ、その後、南カリフォルニア大学へと進学しました。大学在学中の1935年には、AAU（全米体育協会）、NCAA（全米大学体育協会）、IC4A（全米インターカレッジ陸上競技協会）主催の円盤投競技会で優勝という偉業を達成。翌1936年にもAAUとNCAAの競技会で再び優勝し、その実力を確固たるものとしました。

ベルリンオリンピックのアメリカ代表最終選考会では、ゴードン・ダンに敗れて2位となったものの、見事に代表の座を射止めました。

ベルリンオリンピックでの栄光

ベルリンオリンピックの円盤投は、31名の選手が出場し、8月5日に開催されました。事前の予想では、スウェーデン代表のハラルド・アンデションとドイツ代表のヴィリー・シュレーダーが金メダルの有力候補と目されていました。しかし、アンデションは予選で自身の記録である53メートル02センチに遠く及ばない38メートル50センチの投てきに終わり、決勝進出を逃すという波乱が起きました。

決勝には、予選で44メートル以上の投てきに成功した13名の選手が進出しました。選手たちは3回の試技を行い、上位6名がさらに3回の試技に挑みました。カーペンターは5投目で当時のオリンピック記録を更新する50メートル48センチの投てきを成功させ、ダンやシュレーダーらを抑え、見事に金メダルを獲得しました。この勝利は、彼にとって生涯忘れられない瞬間となったことでしょう。

オリンピック後の人生

ベルリンオリンピックでのカーペンターの雄姿は、レニ・リーフェンシュタール監督による映画『オリンピア』にも記録されています。彼は1936年から1940年まで円盤投のアメリカ記録保持者であり続けました。大学卒業後は海軍軍属となり、除隊後はカレッジ・オブ・ザ・セコイアズやコンプトン・コミュニティ・カレッジで教師として教鞭を執る傍ら、33年間にわたり陸上競技のコーチを務め、後進の育成に尽力しました。1984年、彼は静かにその生涯を閉じました。

ケネス・カーペンターは、オリンピック金メダリストとしてだけでなく、教育者、コーチとしても多くの人々に影響を与えた人物です。彼の名は、陸上競技の歴史に永遠に刻まれることでしょう。

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