ケネディ・ラウンド

ケネディ・ラウンド

ケネディ・ラウンド（Kennedy Round）は、1964年5月から1967年6月にかけて開催された、関税および貿易に関する一般協定（GATT）の第6回目の多角的貿易交渉です。この交渉は、1962年1月にアメリカ合衆国のジョン・F・ケネディ大統領が年頭教書で提唱したことから、その名が付けられましたが、大統領は交渉開始前に暗殺され、その成果を見ることはありませんでした。

背景と目的

ケネディ・ラウンド以前の貿易交渉、特にディロン・ラウンド（1960年-1961年）では、二国間協定を基にした関税引下げが行われていました。しかし、従来の交渉方式では限界があり、十分な関税引下げが期待できないとの認識が高まりました。そこで1961年秋の大臣会議では、より大胆な「関税一括引下げ」の方針が打ち出され、進展が図られることとなります。1963年の大臣会議では、交渉の具体的な枠組みが決定され、いくつかの基本原則が合意されました。

主な合意内容は以下の通りです：

• - 均等一律引下げ：関税引下げは均等かつ一律で行い、国家にとって重要なごく限られた例外のみを認める。
• - 対象範囲：すべての産品（農産物を含む）が交渉の対象とされ、農産物に関しては輸出の増加を促進する条件が創設される。
• - 非関税障壁の扱い：関税以外の貿易障害についても交渉が行われる。
• - 後進国に対する配慮：後進国における輸出障害の軽減へ向けた努力が求められ、相互主義は求めない方針が取られました。

さらに、交渉を円滑に進めるための中心機関として「貿易交渉委員会」が設置され、具体的な交渉規則の検討が開始されました。

交渉の経過

この新たな交渉は、1963年6月以降に詳細が進められ、1964年5月4日から6日にかけて大臣レベルの会合が開催されました。この会議でケネディ・ラウンドの正式な開始が確認され、1967年6月30日までの約4年間に渡る長期交渉の道筋が定まりました。

交渉には、前回のディロン・ラウンドで参加した26か国・地域を大きく上回る62か国・地域が関与し、最終的な成果として、関税の平均約35%の引き下げと新たに約3万品目に関する関税譲許が合意されました。これにより、過去6回の交渉の中で最大の成果が得られたこととなります。

加えて、ダンピング防止協定や化学品協定の策定も行われ、貿易の安定化に寄与しました。

農業問題の扱い

ケネディ・ラウンドでは、初めて農業に関する本格的な交渉も実施されました。これにより、開発途上国への食糧援助に関する国際穀物協定が成立し、農業部門での課題への対応が求められるようになりました。

結論

ケネディ・ラウンドは国際貿易において重要な転機をもたらし、関税引き下げや農業問題の解決に向けた重要なステップとなりました。この交渉は、世界における貿易の自由化と拡大の動きを促進し、後続のラウンドにも大きな影響を与える要因となったのです。

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