ケプラー32c

ケプラー32c

ケプラー32cは、地球からはくちょう座方向へおよそ990光年離れた宇宙に位置する系外惑星です。この惑星は、太陽よりも小さく暗い赤色矮星であるケプラー32の周囲を周回しています。

発見と物理的な特徴

この惑星は、宇宙望遠鏡「ケプラー」による観測データから、主星の手前を周期的に通過する際の減光（トランジット）を捉える方法によって発見されました。トランジット法を用いることで、惑星の正確な半径を知ることができ、ケプラー32cの半径は地球のおよそ2倍であることが判明しています。

一方、トランジット法単独では惑星の質量を精密に測定するのが難しく、現時点では質量の上限値として木星の約0.5倍と推定されています。しかし、この上限値は実際の質量とは大きくかけ離れている可能性が指摘されており、詳しい質量は今後の観測が待たれます。

大気による温室効果などを考慮しない理想的な表面温度（平衡温度）は、約470 K（摂氏197度）と推測されています。この高い温度は、ケプラー32cが主星であるケプラー32の非常に近くを公転していることに起因します。主星からの距離が地球と太陽の間の約10分の1程度しかないため、強い放射を受けて温度が上昇します。この推定温度は、液体の水が存在するような、生命が存在するのに適した環境ではないことを示しています。

主星：ケプラー32

ケプラー32cが公転している主星、ケプラー32は、スペクトル型M1Vに分類されるM型主系列星、いわゆる赤色矮星です。太陽と比較すると、質量や半径がかなり小さい恒星です。具体的には、質量は太陽の約58%、半径は約53%しかありません。有効温度は約3900 Kであり、太陽の約5778 Kと比較すると、およそ1900 Kも低い温度です。赤色矮星は太陽に比べて温度や明るさは低いものの、燃料を消費する速度が遅いため、その寿命は非常に長いという特徴を持っています。

軌道の特性

ケプラー32cは、先述のように主星の極めて近傍を周回しており、軌道半径は約0.09天文単位（au）です。これは地球と太陽の平均距離である1 auのわずか10分の1以下に相当します。このため、公転周期も非常に短く、わずか約8.8日（地球日）で主星の周りを一周します。

また、ケプラー32系にはケプラー32cの他にも複数の惑星が存在することが知られています。同じ恒星系に属する他の惑星、例えばケプラー32eやケプラー32bとの間に軌道共鳴が存在する可能性が示唆されています。これは、それぞれの惑星の公転周期が簡単な整数比になる関係であり、この系ではケプラー32e、ケプラー32b、ケプラー32cの公転周期がそれぞれおおよそ1:2:3の比率になっているという関係が見られています。軌道共鳴は惑星系の安定性や形成過程に重要な影響を与えると考えられています。

ケプラー32cは、主星のタイプや軌道の近さ、質量推定の不確かさなど、多様な特徴を持つ系外惑星として、赤色矮星系の研究対象の一つとなっています。

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