ケプラー42

ケプラー42星系

ケプラー42（別名KOI-961）は、地球から約126.2光年離れた、はくちょう座の方向に見える恒星です。この星は、私たちの太陽と比べると非常に小さく、興味深い特徴を持っています。

恒星ケプラー42の性質

ケプラー42はスペクトルタイプがM型の赤色矮星に分類される恒星です。そのサイズは太陽のわずか17%（直径）しかなく、質量も太陽の13%程度と極めて小さいのが特徴です。その大きさはむしろ巨大ガス惑星に近く、例えば木星と比較しても直径は約1.66倍、質量は約136倍にとどまります。このような小さな恒星であるため、その明るさも太陽のわずか0.24%しかありません。ケプラー42はまた、年に423ミリ秒角という比較的大きな固有運動を持っていることも知られています。

惑星系の発見

2012年1月10日、アメリカ航空宇宙局（NASA）のケプラー宇宙望遠鏡による観測データから、ケプラー42の周囲を公転する3つの太陽系外惑星が発見されました。これらの惑星は、恒星から非常に近い距離を周回しており、サイズも極めて小さいことが明らかになりました。発見当初、この星系には仮のカタログ名であるKOI-961という名称が使われていましたが、2012年6月に正式に「ケプラー42」という名前が与えられ、それに伴い惑星もケプラー42b、c、dと命名されました。

惑星のサイズ

ケプラー42星系で見つかった3つの惑星は、いずれも地球や金星よりも小さなサイズです。大きさ順に、ケプラー42b、ケプラー42c、ケプラー42dと名付けられました。

ケプラー42b: 最も大きい惑星ですが、それでも直径は地球の約78.5%程度で、私たちの太陽系における金星に近いサイズです。
ケプラー42d: 3つの中で最も小さい惑星で、直径は地球の約57.2%しかありません。これは火星とほぼ同じくらいの大きさにあたります。この惑星dは、2013年にケプラー37bが発見されるまで、知られている太陽系外惑星の中で最も小さな惑星でした。

惑星cの具体的なサイズについては、発見時の情報源では詳細が示されていませんが、大きさの順序からbとdの間に位置すると推測されます。

軌道の特徴

ケプラー42星系の惑星たちは、母星であるケプラー42のごく近くを公転しています。最も外側を回る惑星dでさえ、恒星からの距離はわずか0.0154天文単位（約231万キロメートル）しかありません。これは、私たちが慣れ親しんでいる太陽系と比較すると、惑星の軌道としては極めて小さく、例えるなら木星の周りを回るガリレオ衛星（イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト）の軌道とあまり変わらないスケール感です。

表面温度の推定

ケプラー42は太陽と比べて非常に暗い星ですが、惑星がすぐ近くを回っているため、その表面温度は比較的高いと推定されます。惑星の表面が光をどれだけ反射するかを示すアルベドの値を仮定して計算すると、例えば地球と同じアルベド0.3の場合、表面温度は惑星によって約455℃から181℃の範囲になる可能性があります。ただし、もし惑星の表面が非常に高い反射率を持つ（例えばアルベド0.9）と仮定すれば、最も外側の惑星dでも表面温度は約6.2℃程度になるという計算もあります。これらの温度推定値は、惑星に大気があり、それが引き起こす温室効果の影響を考慮していないため、実際の温度とは異なる可能性があります。

観測上の制約

ケプラー42星系の惑星は、恒星の手前を通過する際の光度変化を捉える「トランジット法」という観測方法によって発見されました。この方法では惑星の存在やサイズ、軌道周期などを知ることができますが、惑星の質量や軌道の楕円の度合いを示す離心率などの詳細な物理的特性については、現在のところ明らかになっていません。

ケプラー42星系は、私たちの太陽系とは大きく異なる、小さく暗い星のすぐ近くを回る小型惑星たちのユニークな例として、系外惑星研究において重要な発見の一つとなっています。

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