ケプラー42b

ケプラー42b

ケプラー42b（Kepler-42b）は、太陽系から遠く離れた宇宙空間に位置する太陽系外惑星の一つです。この惑星は、地球から見ておよそ126光年の距離にある、はくちょう座の領域に存在しています。その名は、発見に大きく貢献したケプラー宇宙望遠鏡に由来しています。ケプラー42bの最も特徴的な点は、主星であるケプラー42が、太陽と比較して非常に小さく、低温の恒星、すなわち赤色矮星であることです。

主星 ケプラー42

ケプラー42bが周回している恒星、ケプラー42は、スペクトル分類でM型に区分されるM型主系列星です。これは、太陽のようなG型主系列星よりも質量が小さく、表面温度が低いタイプの恒星です。具体的には、ケプラー42の質量は太陽の約0.13倍、半径は約0.17倍と、サイズにおいても太陽の5分の1から8分の1程度しかありません。このような小さな恒星であるため、その明るさも非常に控えめです。地球からの見かけの明るさを示す視等級は16.124等級と非常に暗く、一般的な観測用望遠鏡でも捉えるのが困難なほどで、肉眼で見ることは全くできません。

物理的特徴

ケプラー42bは、恒星の前面を通過する際に発生する光の減光を捉える「トランジット法」という手法を用いて発見されました。この検出方法の特性上、惑星のサイズ、特に半径を比較的正確に知ることができます。ケプラー42bの半径は、地球の約0.78倍であることが判明しており、これは地球よりもやや小ぶりな、地球型惑星に近いサイズであることを示しています。しかしながら、質量についてはトランジット法だけでは確定的な値を求めることが難しく、現在のところ上限値のみが知られています。その上限値は地球の約2.73倍とされていますが、研究者たちは実際の質量はこの値よりもかなり低い可能性が高いと考えています。

軌道と環境

ケプラー42bは、主星である赤色矮星ケプラー42から非常に近い距離を公転しています。その軌道長半径は約0.0116天文単位（au）であり、これは地球と太陽間の平均距離（1 au）のおよそ100分の1という近さです。恒星に極めて近い軌道であるため、惑星の表面は非常に高温になっていると推定されます。大気による温室効果などを考慮しない場合の理論的な平衡温度は、摂氏約246度（絶対温度で519ケルビン）にも達すると計算されています。この高温環境は、生命の存在に不可欠と考えられる液体の水が存在するには暑すぎます。そのため、ケプラー42bは、生命居住可能領域、いわゆるハビタブルゾーンの定義から外れており、ハビタブルゾーンよりも主星に近い、内側の領域に位置しています。また、ケプラー42bの軌道は、離心率が0.04と非常に小さく、ほぼ完璧な円軌道に近い形をしていることも特徴です。

ケプラー42bのような、小さな恒星の周りを近距離で公転する小さな惑星の発見は、宇宙には多様な惑星系が存在することを示す貴重な事例であり、系外惑星研究において重要なターゲットの一つとなっています。

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