ケベックの戦い (1775年)

ケベックの戦い

ケベックの戦い（英: Battle of Quebec）は、1775年12月31日に行われたアメリカ独立戦争の初期における重要な戦闘であり、大陸軍がカナダのケベック市を攻撃した際のものです。この戦闘は、アメリカ側にとって初めての大きな敗北となり、結果的に大きな代償を伴いました。大陸軍の指揮官リチャード・モントゴメリーが戦死し、ベネディクト・アーノルドも負傷、さらにダニエル・モーガンを含む多くの兵士が捕虜となりました。一方で、ケベックの守備隊は指揮官ガイ・カールトンのもと、わずかな損失で市を守ることに成功しました。

背景

1775年のアメリカ独立戦争の勃発後、アメリカの指導者たちはケベック植民地の征服を目指しました。大陸軍は最初にタイコンデロガ砦を占拠し、その後モントリオールに向かい、11月にはその市を占拠することに成功しました。このようにして、大陸軍はケベックへの進軍を開始し、寡兵のイギリス軍に対抗するためにフランス系カナダ人の支持を期待していました。

しかし、フランス系住民はイギリスの支配下にあるケベックに対してあまり協力的ではなく、アメリカに対する軍事的な支持を示すことはありませんでした。これは、1760年にイギリスがケベックを占領して以来、地元住民の忠誠心が揺らいでいたためです。

アメリカ軍の準備

アーノルド隊は厳しい環境の中、メイン州の荒野を渡り、ケベック市に向けての行軍を続けました。アーノルドは約1,100名の兵士を指揮し、進軍途中で多くの困難に直面しました。多くの兵士が飢餓や病気で脱落し、最終的に1500名に達したアメリカ軍は、12月6日にケベック市を包囲しましたが、抵抗を受け続けました。

戦闘の開始

モントゴメリーとアーノルドは、悪天候の中でケベック市への攻撃を決定しました。両隊はそれぞれ異なるルートから進行し、ローワータウンで合流することになりました。しかし、モントゴメリーが進むうちに戦死し、アーノルドも負傷。また、モーガンが指揮を引き継いだものの、アメリカ軍は厳しい抵抗に直面し、最終的には降伏を余儀なくされました。

この戦闘の結果、大陸軍は約400名が捕虜となり、数十名が戦死しました。これに対しイギリス軍の損失は相対的に少なく、報告された数値はほぼ微々たるものでした。モントゴメリーはその戦死により、大陸軍に深刻な打撃を与えました。

包囲戦

戦闘が終わった後もアーノルドは撤退を拒否し、ケベック市の包囲を続けましたが、結果的に無成果でした。イギリス軍は十分な物資を確保して包囲に耐え、アーノルド軍は次第に疲弊していきました。さらには、食料不足や疫病の影響を受け、冬の厳しい気候がアーノルド軍を困難な状況に追い込んでいきました。

最終的に大陸軍は撤退を余儀なくされ、帰還中には多くの兵士が病気や戦闘により命を落としました。この戦いは、アメリカ側にとって大きな教訓となり、兵力の配分や戦術の見直しをもたらすものでした。戦闘後の占領地では、イギリス軍が支持者を探し、アメリカ側の支持者に厳しい制裁を加えることとなりました。モントゴメリーの遺体は、後に簡易な軍葬に付され、アメリカ軍の戦争における悲劇的な歴史の一部として記憶されています。

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