ケムラー (ウルトラ怪獣)

ケムラーの登場と特性

ケムラーは、日本の特撮テレビドラマ『ウルトラマン』に登場する架空の怪獣で、通称「毒ガス怪獣」とも呼ばれています。初めて登場したのは第21話「噴煙突破せよ」で、数千年前に死火山と考えられていた大武山から突如として姿を現しました。火山活動の再開に伴い、ケムラーは噴火口から出現し、その特徴的な爬虫類風の外観が視聴者を驚かせました。

外見と能力

ケムラーは、背中にダイヤモンドの10倍の硬さを誇る甲羅を持っており、この甲羅は打撃時に開閉し、内側には極彩色の部分があります。彼の最も強力な武器は、口から吐き出す黒い猛毒ガスです。このガスの成分は、火山ガスと同様の高濃度の亜硫酸ガスの微小な粒子で構成されており、どこにでも浸透します。また、彼は二股の尻尾の先から破壊光線を放つ能力も備えています。

ケムラーの皮膚は非常に頑丈で、スペシウム光線などの通常の攻撃が効かないほどです。さらに、強力な脚力により、100メートル以上のジャンプが可能です。このような特性から、第21話での彼は強敵として描かれ、防衛軍をも撤退させました。

戦いと最後

ケムラーは初めのうち、山頂に生息する野鳥や魚を次々と死滅させ、その後、観光客へも攻撃を加えました。そして、麓の街に出現し毒ガスを撒き散らし、防衛軍が出動するも、強大な力により敗北を喫します。最終的には、展開した甲羅の内側に隠れている心臓が急所であり、イデ隊員が開発したマッド・バズーカによって攻撃され、破壊される運命をたどります。その後、火口へ落下し大爆発を起こします。

スーツアクターとデザイン

ケムラーのスーツアクターは鈴木邦夫が務めており、その名前の由来は煙に由来しています。最初に企画された時、ケムラーは東京タワーを襲う怪鳥のアイデアとして捉えられていましたが、成田亨のデザイン画では口が左右に分かれて開く構造となっていました。また、背中の甲羅はガボラのデザインと同様の発想が反映されています。

続く登場

その後、ケムラーは『ウルトラマンパワード』や『ウルトラマンメビウス』など、多くの作品にも登場しています。『ウルトラマンパワード』では「パワードケムラー」として登場し、従来のケムラーに比べて外見の進化を遂げています。彼は地底に生息する肉食の四足歩行型怪獣で、高濃度の毒性ガスを噴射する能力を持つという新たな特性があります。

その他のメディアへの露出

ケムラーは、漫画版『ウルトラマン』やその他のメディアでも取り上げられ、その存在感を確立しました。特に一峰大二作の漫画版では、セリフや設定に変更が加えられ、異なる戦いのシチュエーションが描かれることもありました。映画やアニメでもその影響が見られ、ケムラーは特撮ファンに深く根付いた存在となっています。

このように、ケムラーはウルトラシリーズにおける象徴的な怪獣として、多くの作品にその名を刻んでいます。

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