ケメロヴォショッピングセンター火災

ケメロヴォショッピングセンター火災

2018年3月25日、ロシア連邦のケメロヴォ市に位置する大型商業施設「ジームニャヤ・ヴィーシニャ」（ロシア語: «Зимняя вишня»、「冬のサクランボ」の意）で、恐ろしい火災が発生しました。この惨事により、多くの尊い命が失われ、近年のロシアにおける大規模火災としては、2009年のペルミ・ナイトクラブ火災に匹敵するほど多くの犠牲者を出しました。

火災が発生したショッピングセンターは、2013年に開業したばかりの比較的新しい施設でした。地上4階建てのこの複合施設は、ショッピングエリアだけでなく、映画館や子ども向けの屋内動物園なども併設されており、地域住民にとって人気の憩いの場となっていました。火災発生当日は、ちょうど学校が春休みに入って最初の日曜日にあたり、特に家族連れや子どもたちで賑わっていたとみられています。

火元は4階部分と推定されており、火の手はまたたく間に広がり、施設の約1600平方メートルが炎上しました。その結果、建物の屋根の大部分が焼け落ちるなど、深刻な損壊を受けました。この火災によって、確認されただけで64名が死亡、約80名が負傷するという甚大な被害が発生しました。犠牲者の中には多数の子どもが含まれており、その数は死者全体の過半数にあたる41名に上りました。春休みの日曜日という状況が、子どもたちの犠牲を増加させる一因となったと考えられています。

被害が拡大した背景には、複数の問題点が指摘されています。火災発生時、施設内にいた来客や従業員に対する組織的な避難誘導がほとんど行われなかったことが、多くの人々が避難経路を確保できずに逃げ遅れる原因となりました。さらに、施設の火災報知機システムが以前から故障していたことが判明しており、その不具合が適切に修繕されずに放置されていたことも明らかになりました。最も悲劇的だった要因の一つとして挙げられているのが、映画館エリアで、入場券を持たない利用者の侵入を防ぐ目的で、上映中のスクリーンのドアが内側から施錠されていたという事実です。この施錠が、映画鑑賞中だった子どもたちの避難経路を断ち、彼らが逃げ出すことができない状況を作り出してしまいました。

火災発生を受け、当局は直ちに捜査を開始しました。火災が発生した翌日の3月26日には、火元とみられる4階のテナント借主を含む、施設の運営に関わった関係者4名が身柄を拘束されました。その後、捜査は拡大し、3月30日には建設監督局のケメロヴォ州審査局長も逮捕されるに至りました。安全管理や施設の構造に関する問題を巡り、広範な関係者が責任を問われることとなりました。

政治的な責任も追及されました。火災発生当時、ケメロヴォ州知事であったアマン・トゥレーエフ氏は、火災への対応や責任を巡る批判を受け、同年4月1日に引責辞任を表明しました。後任には、副知事であったセルゲイ・チビリョフ氏が知事代行として就任しています。

ケメロヴォショッピングセンター火災は、施設の安全管理、緊急時の避難体制、そして法規制の遵守といった側面における問題点を浮き彫りにしました。特に多数の子どもたちの犠牲は、社会に大きな衝撃を与え、同様の悲劇が繰り返されないための対策が強く求められる契機となりました。

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