ケルベルス座

ケルベルス座について

ケルベルス座（ケルベルスざ、Cerberus）は、もはや使用されていない星座の一つです。この星座は、1687年にヨハネス・ヘヴェリウスが作成した星図『Firmamentum Sobiescianum sive Uranographia』において初めて登場しました。この星図では、ヘルクレス座の頭部と、はくちょう座の頭部の間に配置されており、現在のヘルクレス座にあたる93、95、96、109番星が使用されています。

ケルベルス座は、ヨハン・バイエルによる『ウラノメトリア』において、ヘラクレスが握る黄金のリンゴの枝の一部として描かれていました。ここでのケルベルスは、地獄の番犬として知られていますが、星図では特徴的に3つの頭を持つ犬ではなく、蛇として描かれていました。この描写は、星座を象徴的に表現する手法として興味深いものです。

1721年、イギリス人占星術師のジョン・セネクスは、彼自身の星座地図の中で、リンゴの枝に絡まる蛇としてケルベルスを描写しました。このセネクスによる描き方は、その後のヨハン・ボーデの『ウラノグラフィア』にも引き継がれているため、ケルベルスの象徴がどのように変化してきたかを物語っています。

1922年、国際天文学連合（IAU）が現在も認知されている88の公式星座を定める際に、ケルベルス座はヘルクレス座の一部として組み込まれました。この変更により、ケルベルス座は事実上消滅したと言えますが、その歴史をひも解くことで、星座が持つ文化的な意義や天文学の発展を感じることができます。

このように、ケルベルス座は単なる星座であるだけでなく、星図上の描写や他の星座との関係を通じて、17世紀から18世紀の天文学の歴史を映し出す重要な存在でした。今後の天文学の探求においても、過去の星座たちが持つ意味を再評価することは、学びの一環と言えるかもしれません。

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