ゲオルギ2世テルテル

ゲオルギ2世テルテル：短命に終わったブルガリア皇帝の生涯

ゲオルギ2世テルテル（生年不詳 - 1322年）は、14世紀初頭の第二次ブルガリア帝国の皇帝（ツァール）として、1321年から1322年までの短い期間在位しました。彼は、皇帝テオドル・スヴェトスラフと妃エウフロシネの間に生まれ、父方の祖父であるゲオルギ1世テルテルにちなんで名付けられました。

ビザンツ帝国の内紛への介入

1321年に父テオドルが崩御した後、ゲオルギ2世は、ビザンツ帝国（東ローマ帝国）の皇帝アンドロニコス2世パレオロゴスとその孫アンドロニコス3世パレオロゴスの間で繰り広げられていた内紛に積極的に介入します。この混乱に乗じて、ゲオルギ2世はトラキア地方のビザンツ領に侵攻し、領土拡大を試みました。

フィリッポポリスの占領と「ブルガリアとギリシャの王」

1322年、ゲオルギ2世はフィリッポポリス（現在のプロヴディフ）とその周辺の城砦を占領することに成功します。彼は、将軍Ivan the Russianに占領した城砦の守備を命じ、自らを「ブルガリアとギリシャの王」と称しました。これは、彼の領土的野心と権力への願望を示すものでしょう。

アドリアノープルからの撤退と突然の死

ブルガリア軍はアドリアノープル（現在のエディルネ）にまで到達しましたが、アンドロニコス3世の軍勢に敗れて退却を余儀なくされます。そして同年、ゲオルギ2世は行軍中に急死するという悲劇に見舞われます。若くして崩御したゲオルギ2世には後継者がいなかったため、ブルガリア帝国は再び混乱と危機の時代を迎えることになります。

後継者問題と帝国の危機

ゲオルギ2世の死後、帝位は遠縁の親戚であるミハイル・シシュマンによって継承されます。ゲオルギ2世の突然の死は、ブルガリア帝国にとって大きな痛手であり、帝国の安定を揺るがす要因となりました。彼の短い治世は、ブルガリア帝国の歴史において、内憂外患が絶えなかった時代を象徴するものとして記憶されています。

まとめ

ゲオルギ2世テルテルは、短期間ながらも積極的な外交と領土拡大政策を展開したブルガリア皇帝でした。彼の突然の死は帝国に大きな影響を与え、その後の帝国の運命を左右することになりました。彼の生涯は、中世のバルカン半島における政治的権力闘争の激しさを物語る一例と言えるでしょう。

参考文献
* John V.A. Fine, Jr., The Late Medieval Balkans, A Critical Survey from the Late Twelfth Century to the Ottoman Conquest, Ann Arbor (1987)

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