アンドロニコス3世パレオロゴス

アンドロニコス3世パレオロゴスは、1297年 3月25日に生まれ、1341年 6月15日に亡くなった東ローマ帝国パレオロゴス王朝の第4代皇帝です。彼は、アンドロニコス2世パレオロゴスの孫であり、ミカエル9世パレオロゴスとマリアの息子として生まれました。祖父と同名のため、「少帝」と呼ばれることもあります。

生涯

1313年頃、アンドロニコス3世は父ミカエル9世に続き、祖父アンドロニコス2世の共同皇帝・帝位継承者に指名されました。しかし、彼の品行の悪さが原因で祖父との関係は悪化し、最終的には帝位継承権を剥奪されました。祖父は、代わりにミカエル9世の弟コンスタンティノス専制公とその非嫡出子ミハイル・カタロスを後継者に指名しようとしました。

これに対し、アンドロニコス3世は1321年に友人であるヨハネス・カンタクゼノスらと結託し、祖父に反旗を翻しました。この内乱は7年間にも及び、彼は減税政策などで民衆の支持を集め、1328年に祖父を退位させることに成功しました。退位したアンドロニコス2世は修道士となり、1332年に亡くなりました。

アンドロニコス3世が皇帝となった後、直面した大きな問題の一つが、オスマン帝国の台頭です。1329年、彼はカンタクゼノスと共にオスマン軍と戦いましたが敗北し、小アジアの帝国領は失われることとなりました。小アジアを諦めた彼は、関心をバルカン半島に向けました。当時勢力を拡大していたセルビアが、カンタクゼノスとの政争に敗れたシュルギアンネスを擁して帝国西部を侵略しようとしましたが、彼はシュルギアンネスを暗殺して事態を収拾しました。その後、エピロス専制侯国を併合し、1340年に帝国領に組み込みました。これにより、1204年以来続いていた東ローマ勢力の分断は、一応の終止符を打ちました。

アンドロニコス3世の跡継ぎ問題は、彼自身の健康状態とも関連して複雑なものでした。最初の結婚で生まれた息子は夭折し、最初の妻も早くに亡くなりました。その後、1326年にジョヴァンナと再婚しましたが、息子が生まれる前にアンドロニコス3世が重病に陥ったため、後継者問題で宮廷内が混乱しました。最終的には、1332年に長男ヨハネスが誕生し、後継者問題は一段落しました。その後、次男ミカエルと娘も生まれています。しかし、アンドロニコス3世は1341年に45歳で死去し、帝国の動乱は彼の死後から本格化しました。

評価

アンドロニコス3世の統治者としての評価は大きく分かれています。知的な人物であったと考えられていますが、怠惰で気まぐれ、猜疑心が強い性格が、その能力を十分に発揮させなかったとする見解もあります。彼の性格に関する歴史的記述は一致せず、東ローマ帝国史の中でも特に謎の多い人物の一人と言えるでしょう。ムスリムの旅行家イブン・バットゥータは、コンスタンティノープルでアンドロニコス3世に謁見したと語っています。

家族

最初の結婚

1317年、ブラウンシュヴァイク＝グルベンハーゲン公ハインリヒ1世の娘アーデルハイト（エイレーネー）と結婚。一男を儲けるも早世。

息子（名不明、1321年6月 - 1322年2月）

二度目の結婚

1326年、サヴォイア伯アメデーオ5世の娘ジョヴァンナ（アンナ・パレオロギナ）と結婚。二男二女を儲ける。

エイレーネー（1327年 - 1356年以降） - ブルガリア帝国共治帝ミハイル・アセンの妻
ヨハネス5世（1332年 - 1391年） - 東ローマ皇帝
ミカエル（1337年 - ?） - 専制公
マリア（? - 1384年 8月6日?） - レスボス島のジェノヴァ人君主フランチェスコ1世ガッティルシオの妻

その他

アンドロニコスの子供であることは確実だが、アンナとの子供であるか不明、もしくは庶子である子供たち

テオドロス・パレオロゴス - 護衛隊司令官。アンドロニコスの子供ではないとする説もある。
エイレーネー・パレオロギナ・コムネネ - 庶子。トレビゾンド皇帝バシレイオス1世メガス・コムネノスの妻
娘（名不明） - 庶子。ジョチ・ウルス支配者ウズベク・ハンと結婚。

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