アンドロニコス2世パレオロゴス

アンドロニコス2世パレオロゴスは、13世紀後半から14世紀初頭にかけて東ローマ帝国を統治した皇帝です。彼は、学芸を奨励し「パレオロゴス朝ルネサンス」と呼ばれる文化の繁栄を招きましたが、政治家としては多くの課題を抱えていました。

文化と宗教への貢献

アンドロニコス2世は、父ミカエル8世の教会合同政策を修正し、正教会との関係を修復しました。これにより、アトス山の修道院活動が盛んになり、宗教的な安定をもたらしました。彼の治世は、ビザンティン文化の最後の輝きとして後世に伝えられています。

軍事的な失策と衰退

しかし、アンドロニコス2世の統治下で、東ローマ帝国は衰退に向かいました。彼は父が創設した海軍を軽視し、ヴェネツィアやジェノヴァといった海洋国家との競争に敗れました。また、オスマン帝国の侵攻に対して、カタルーニャ傭兵を雇い対応しましたが、傭兵隊長ロジェ・ド・フロールを暗殺したことが、更なる混乱を招きました。ロジェの残党はトラキアやマケドニアを荒らし、帝国の弱体化を加速させました。

内乱と退位

アンドロニコス2世は、孫のアンドロニコス（後のアンドロニコス3世）の素行の悪さを理由に、帝位継承権を剥奪しました。これに反発した孫が反乱を起こし、7年にわたる内乱が勃発。最終的に、アンドロニコス2世は1328年に退位を余儀なくされました。彼は修道士となり、1332年にこの世を去りました。

家族構成

アンドロニコス2世は、二度の結婚で多くの子女をもうけました。最初の妻であるハンガリー王女アンナとの間には、後の皇帝ミカエル9世と専制公コンスタンティノスがいます。二番目の妻であるモンフェッラート侯女ヴィオランテ・ディ・モンフェラート（エイレーネー）との間には、専制公ヨハネス、モンフェッラート侯テオドロス、セルビア王妃シモニス、専制公ディミトリオスがいます。また、少なくとも2人の庶子がいました。

評価

アンドロニコス2世は、文化的な側面では大きな功績を残した一方、政治家としては多くの失敗を犯しました。彼の治世は、東ローマ帝国の衰退を決定づけた時代として、歴史に刻まれています。傭兵の乱暴や帝位をめぐる内乱は、帝国の地盤を揺るがし、その後の帝国滅亡への道を加速させました。彼の生涯は、文化の興隆と政治的な衰退が同時に起こった、複雑な時代の象徴と言えるでしょう。

もう一度検索