ゲット・レディー

ニュー・オーダー『ゲット・レディー』：8年の沈黙を破った再起のアルバム

1993年のアルバム『リパブリック』以来、8年の沈黙を破って2001年にリリースされたニュー・オーダーの『ゲット・レディー』は、単なるアルバム以上の意味を持つ作品です。バンドは、前作リリース後、メンバー間の確執が表面化し、1993年のレディング・フェスティバルを最後に活動を停止していました。ベストアルバムのリリースこそありましたが、事実上、バンドは解散状態にあったのです。

しかし、1998年、再びレディング・フェスティバルの舞台に4人が集結。この再集結は、長年の確執を乗り越え、バンド再始動の象徴的な出来事となりました。ライナーノーツには、1993年以降、メンバーが口をきかなかった時期があったこと、そして1998年のライヴが事実上の再結成だったことが記されています。

再結成後も、精力的な活動を展開。2001年には来日し、フジ・ロック・フェスティバルにも出演しました。映画『ザ・ビーチ』のために新曲「ブルータル」を提供するなど、音楽シーンへの復帰を印象付けていました。しかし、アルバムリリース直前には、バンドのマネージャー、ロブ・グレイトンが急逝。制作過程は困難を極めたようです。また、このアルバムを最後にベーシストのジリアン・ギルバートが脱退。彼女の脱退理由は、子供を育てるためでした。

『ゲット・レディー』は、ロック色の強いアルバムとなっています。スマッシング・パンプキンズのビリー・コーガンが参加した「ターン・マイ・ウェイ」、プライマル・スクリームのボビー・ギレスピーとアンドリュー・イネスが参加した「ロック・ザ・シャック」など、豪華なコラボレーションも実現しています。シングルカットされた「クリスタル」と「60マイルズ・アン・アワー」は、このアルバムを代表する楽曲として高い人気を誇ります。

アルバムは全英アルバムチャートで6位を記録する成功を収めました。しかし、メンバー間の確執は完全に解消されたわけではなく、続くアルバム『ウェイティング・フォー・ザ・サイレンズ・コール』の制作後には、再びメンバー間の不和が表面化し、バンドは再び困難な時期を迎えることとなります。

『ゲット・レディー』は、8年間の空白を乗り越えて制作された、ニュー・オーダーの再起をかけた重要な作品です。メンバー間の葛藤や、様々な困難を乗り越えた過程こそが、このアルバムに深みを与えていると言えるでしょう。

収録曲 (日本国内盤)

クリスタル - Crystal - 6:51
60マイルズ・アン・アワー - 60 Miles an Hour - 4:34
ターン・マイ・ウェイ - Turn My Way - 5:05
ヴィシャス・ストリーク - Vicious Streak - 5:40
プリミティヴ・ノーション - Primitive Notion - 5:43
スロー・ジャム - Sooner Than You Think - 4:53
ロック・ザ・シャック - Rock the Shack - 4:12
サムワン・ライク・ユー - Someone Like You - 5:42
クロース・レンジ - Close Range - 4:13
ラン・ワイルド - Run Wild - 3:57
ビハインド・クローズド・ドアーズ - Behind Closed Doors - 5:24 (日本盤ボーナストラック)

※日本盤にはボーナストラックとして「ビハインド・クローズド・ドアーズ」が収録されています。海外盤ではシングル「クリスタル」のカップリング曲として収録されています。また、「クリスタル」の日本盤シングルには、1998年のレディング・フェスティバルのライブ音源4曲が収録されています。このライブ音源は、DVD作品「New Order 316」でも視聴可能です。

制作

作詞・作曲・編曲：ニュー・オーダー
プロデューサー：スティーブ・オズボーン（「ビハインド・クローズド・ドアーズ」はニュー・オーダー＆アーサー・ベイカー）
エンジニア：ブルーノ・エリンガム、アンドリュー・ロビンソン
* カバー・アート・ディレクション：ピーター・サヴィル

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