ゲットリンク

Getlink：英仏海峡トンネルの運営と多角化戦略

Getlink社（旧グループ・ユーロトンネル）は、英仏海峡トンネルの運営を主な事業とするフランスの企業です。パリに本社を置き、ユーロネクスト・パリ市場に上場しています。英仏海峡トンネルは、イギリスとフランスを結ぶ海底トンネルとして知られ、Getlink社はその管理・運営の中核を担っています。

設立と経営危機

Getlink社のルーツは、英仏海峡トンネル建設に関わったイギリスとフランスの企業に遡ります。1986年の設立当初は、トンネルの建設費用の高騰や、開業後の旅客数の低迷により、多額の負債を抱えることとなりました。2006年には経営危機に陥り、フランスの裁判所から破産保護の措置を受ける事態に直面しました。

しかし、ゴールドマン・サックスなどの投資銀行からの巨額の融資を受け、株式交換や事業再生を実施。増資や債務削減などの再建策を経て、経営を立て直しました。この過程では、負債の棒引きや新株発行といった大胆な措置が取られました。

事業多角化と成長

経営再建後、Getlink社は事業の多角化を進めました。当初は英仏海峡トンネルの管理・運営と、それを利用するユーロトンネルシャトル（カートレイン）の運行が中心でしたが、貨物鉄道事業への進出や、送電事業への参入などを試みました。

具体的には、イギリスの貨物鉄道会社を買収し、その後売却。さらに、鉄道関連の研修事業、フランスでの送電サービス、そしてイギリス側トンネル出口周辺の公園運営など、多岐にわたる事業を展開しています。これらの多角化戦略は、経営の安定化と収益の多様化に寄与しています。

ただし、英仏海峡トンネルを通過する高速旅客列車「ユーロスター」の運営は、Getlink社とは別の企業が行っています。ユーロスターの運営会社とは、組織的な関係はありませんが、ユーロスターからの通行料収入は、Getlink社の重要な収益源となっています。

現在展開する事業

現在、Getlink社は以下のような事業を展開しています。

英仏海峡トンネルの管理・運営: これはGetlink社の主力事業であり、同社の収益の大きな部分を占めています。
ユーロトンネルシャトル（カートレイン）の運行: 車両ごとをトンネルで輸送するサービスで、個人旅行者から貨物輸送まで幅広い利用があります。
Europorte: トンネルを通過する貨物列車の運行を担う子会社です。
CIFFCO: 鉄道関連企業向けの研修サービスを提供する子会社です。
ElecLink: フランスのブルターニュ地方で送電サービスを提供する子会社です。
Samphire Hoe Country Park: イギリス側トンネル出口付近にある公園の運営を行っています。

主要株主と今後の展望

Getlink社の主要株主の一つはゴールドマン・サックスであり、議決権ベースで約15％の株式を保有しています。これは、過去の経営危機からの再建において重要な役割を果たした投資銀行です。

Getlink社の今後の展望は、英仏海峡トンネル事業の安定的な運営に加え、多角化戦略の更なる展開に懸かっています。既存事業の効率化と、新たな事業機会の模索が、今後の成長を左右する重要な要素となるでしょう。

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