ゲリボル

ゲリボル：美しき要衝の地、歴史の交差点

ゲリボル（トルコ語: Gelibolu, ギリシア語: Καλλίπολις/Kallipolis, 英語: Gallipoli）は、トルコのマルマラ地方、チャナッカレ県に位置する都市です。エーゲ海とダーダネルス海峡に挟まれたゲリボル半島に位置し、その名の由来はギリシア語の「カリポリス（美しい町）」にあります。英語名ではガリポリとして知られています。

古代から近世へ：幾多の支配者たちの記憶

古代、カリポリスはチェルソネスス・トラキカ（ゲリボル半島の古名）の東端に位置し、ダーダネルス海峡の入り口を扼する要衝でした。ビザンツ皇帝ユスティニアノス2世はここに要塞を築き、軍事物資の集積地としました。14世紀には、カタルーニャ傭兵団に占領、破壊されるという憂き目にも遭っています。

1354年、地震によって街は荒廃しますが、その後、アナトリアのトルコ人が海峡を渡り、この地を占領。ゲリボルはオスマン帝国がヨーロッパ地域で初めて手に入れた都市となり、その後のバルカン半島への進出の足がかりとなりました。オスマン帝国の支配下に入った後も、ギリシャ人たちは日常生活を続け、ゲリボルは様々な民族が共存する都市として発展しました。最盛期には、ギリシャ人、トルコ人、アルメニア人、ユダヤ人など、約3万人が暮らしていました。

近代・現代：戦火と再建の歴史

クリミア戦争中には、英仏軍の野営地となり、イスタンブールへの航路の停泊地として利用されました。第一次世界大戦中の1915年には、ガリポリの戦いの舞台となり、多くの犠牲者を出しました。また、ロシア革命後には、白軍の司令官ヴラーンゲリとその兵士、家族がクリミア半島からゲリボルに避難し、ヨーロッパ各地へ移住していきました。彼らを追悼する「ゲリボルの十字架」という石碑が建立されましたが、地震で破壊された後、トルコ政府の援助により再建が進められています。1920年から1922年の間はギリシャ領となりましたが、ローザンヌ条約によって再びトルコ領となりました。

宗教の歴史：東西の交差点

ゲリボルは、ビザンツ帝国時代のトラキア属州に由来するローマ・カトリックの名義司教座が置かれていました。また、正教会においても重要な拠点であり、数多くの主教がこの地を拠点として活動しました。東西の文化、宗教が交錯する地としての歴史も有しています。

ゲリボルは、その美しい景観と豊かな歴史を持つ魅力的な都市です。ダーダネルス海峡を望むこの地を訪れれば、悠久の歴史と多様な文化に触れることができるでしょう。

外部リンク
公式ページ
GELIBOLU（GALLIPOLI） PENINSULA HISTORICAL NATIONAL PARK

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