ゲルリッツ

ゲルリッツは、ドイツのザクセン州に位置するナイセ川沿いの都市で、旧オーバーラウジッツ地方の中心地として栄えてきました。都市の名前は、スラヴ語で「燃やされた土地」を意味する言葉に由来するとされ、その歴史は11世紀にまで遡ります。1071年にローマ王ハインリヒ4世によって記された書簡に、初めてその名が登場しました。

中世から交通の要衝として発展し、13世紀には重要な交易都市となりました。14世紀には、ラウジッツ地方の主要6都市で構成される「六都市同盟」を主導し、この地域における政治的、経済的な中心としての地位を確立しました。しかし、都市の内部では度々騒乱が発生し、1521年にはルター派の運動へと発展しました。

三十年戦争後、ゲルリッツはザクセン選帝侯の支配下に置かれ、その後、ナポレオン戦争を経て1815年のウィーン会議の結果、プロイセン領シュレージエンの一部となりました。第二次世界大戦末期には、町のナイセ川にかかる橋が全て爆破され、東西ドイツ分断後は、ナイセ川東岸がポーランド領となり、ズゴジェレツとして分離されました。その後、ゲルリッツは東ドイツ、ザクセン州の一部として復興を遂げ、ドイツ再統一後はザクセン州に復帰しました。

2002年の洪水で、ゲルリッツとズゴジェレツを結ぶ橋が損傷しましたが、2004年に修復され、2007年にはポーランドがシェンゲン協定に加盟したことで検問が廃止され、両都市は再び一体となって発展する動きを見せています。現在、「2030年までに1都市、1行政、1議会」という統合計画が進められています。

ゲルリッツ郡の郡庁所在地でもあり、同郡では人口流出による少子高齢化と過疎化が深刻化しています。近年では、右派政党「ドイツのための選択肢（AfD）」の勢力が強く、2021年の連邦議会選挙では国内で最も高い支持率を記録しました。

幸運にも第二次世界大戦の被害をほとんど受けなかったため、ゲルリッツには中世のゴシック様式、ルネサンス様式、バロック様式、アールヌーヴォー様式といった多様な建築物が数多く残されており、その美しい街並みは観光客を魅了します。特に、旧市街は歴史的な建造物が密集しており、まるで時が止まったかのような雰囲気を醸し出しています。

交通面では、市内には路面電車が運行しており、市民の足として利用されています。姉妹都市としては、フランスのアミアン、イタリアのモルフェッタ、ポーランドのズゴジェレツ、チェコのノヴィー・イチーン、ドイツのヴィースバーデンと交流があります。

ゲルリッツ出身の著名人としては、哲学者ヤーコプ・ベーメ、経済学者オスカー・モルゲンシュテルン、サッカー選手のミヒャエル・バラックとイェンス・イェレミース、セルビア王国の軍人パヴレ・ユリシッチ＝シュトゥルム、ザクセン州首相ミヒャエル・クレッチマー、ドイツのための選択肢 (AfD) 党首のティノ・クルパラなどが挙げられます。

また、ゲルリッツには150年以上の歴史を持つ鉄道車両工場があり、特に「ゲルリッツ式台車」は世界的にも有名です。現在はアルストムの所有となっています。

ゲルリッツは、その歴史的背景、美しい建築物、そして文化的な多様性から、ドイツを代表する魅力的な都市の一つと言えるでしょう。

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